雪の夜明け 浪花ふらふら謎草子 / 岡篠名桜

作者名 あ行岡篠名桜

知り合いから父が残した絵とそっくりの暖簾をみた、という情報を入手した花歩は、件の暖簾をもつ木綿問屋に向かう。確かに花歩の父の絵と同じもので、行方不明となった父の手がかかりを得た花歩だが、その翌日に暖簾が何者かに盗まれてしまう。(宝船の行方)

伊佐さんといっしょに千代ちゃんをにやにやと見守りたい。

シリーズ三冊目。今巻の最後に父親探しのお話に少し進展があり、本筋もちょっとすすんだような、そんな3冊目でした。全体として「千代ちゃんにちょっともやもやする花歩」と、「表情変えずに花歩にかまってしまう千代ちゃん」とそれをにやにや見守る伊佐さん、というこのポジションがすごく楽しくて、これは伊佐さんでなくてもにやにやするわー、といういくつかの出来事がよいものでした。この絶妙な距離感がたまらない。千代ちゃんのおうちも、ひとりだけ堅物なのが千代ちゃん以外はなんとも伸びやかなところがこれまたおもしろいですね。

派手なところはないし、全てが全てハッピーエンドでもないお話なのですが、なんとなくほっこりするあれこれが楽しみなシリーズなので続きも楽しみです。

雪の夜明け 浪花ふらふら謎草子
岡篠名桜
集英社文庫(2014.01)
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