海賊商人と真珠の婚約 / 平川深空

本の感想, 作者名 は行平川深空

没落貴族のリーザは、唯一残った財産である蔵書を大学に寄贈し、そこで司書として細々と暮らしていたがその生活すら危うくなってきた。蔵書を守るためにリーザは海賊とも噂のある新興商人レンに「貴族の娘との結婚」をネタに蔵書の維持のための資金を引き出そうとするが……

あら、わりあいと好み!

没落貴族のお嬢さんが商人相手に「交渉」してなんとか自分の居場所を守ろうとするお話、陰謀もあるよ!という読み切りものでした。リーザさんが落ち着いているというか、達観しているので、こう、キラキラしい部分は若干薄目ですが、リーザさんのかわりにレンさんがわりと突拍子もない事をしてくれるので、その点ではなかなか華やかなところがあったと思います。

そしてあれですよ、お嬢様を影に日向に見守る軍人くんの存在が、おいしい(笑)。おまえもうちょっと早く行動してたら商人なんかにとられなかったのにな、煮え切らないから!と野次馬根性を出した感想をまずいだきましたが、なんのかんのと憎まれ口を叩きながら、お嬢様の意思を尊重してレンといいコンビネーションを発揮し始めるところなどは、ベタながらもよいものでした。こういうのに弱いです……。そして、リーザがレンとかかわることで、だんだん「かわいく」なっていくのもベタながらもよいものでした。

海賊商人と真珠の婚約
平川深空/くまの柚子
小学館ルルル文庫(2013.08)
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