精霊歌士と夢見る野菜 金色の約束 / 永瀬さらさ

本の感想, 作者名 な行永瀬さらさ, お兄ちゃん

仲間とともに運営する店も軌道に乗りはじめるメロウだが、間近に迫った精霊歌士予備試験は今までの試験とは違い、実技の一発勝負でしかも試験官はメロウの母である女王ということが告げられる。そして同時に今までの女王の態度が嘘のようにメロウに接する女王にメロウは戸惑いつつも試験の準備をするが、店を拡張しようとした矢先に事件が起こり……

「このボンクラ!」が一番冴え渡った最終巻でした。

ビーンズ文庫の新人さんデビュー作シリーズが3冊目にて完結。最初は「や、やさい……?」と思って読み始めたのですが、コメディかと思いきや割にシリアスで、頑張るヒロインにヒロイン以外眼中にない有能ボンクラヒーロー、弟を溺愛するお兄ちゃんに頼りになる友人、かわいい精霊に見守る大人たちと登場人物たちも面白く、ヒロインがぶつかる壁に親娘の確執など盛り上がる要素も多くて好きな作品だったので3冊で終わるのはもったいないなぁ、と思いました。綺麗に大団円で終わっていることは確かなのですが、あと2冊くらいあればあの人とかこの人がもうちょっと美味しかったかも……語られないエピソードで美味しそうなのがたくさんあるのですよねぇ(笑)。

今回、メロウはかわいくエイディもかっこよくて、わーいい少女小説だ!とにまにましましたが、ラヴィやミミといった相棒の精霊たちの掛け合いも楽しかったです。炸裂するラヴィの「このボンクラ!」の一撃がすごく楽しかったです。あと、私もすっかり騙されていまいしたが、うん、家族っていいものですね。これはまごうことなく「お兄ちゃん」小説にカテゴライズしても、いい……

次回作も楽しみだ。

精霊歌士と夢見る野菜 金色の約束
永瀬さらさ/雲屋ゆきお
ビーンズ文庫(20014.08)
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