アルカトラズの聖夜 妄想少女と無口な少佐 / 彩本和希

本の感想彩本和希

美形をネタに妄想することを趣味とする漫研部員の宮古は、その威圧感から「少佐」と恐れられる剣道部員の多聞と何故か仲良く、友達なのに多聞の怜悧な美貌をネタに妄想するという日々を過ごしていた。学年トップレベルの美女からの告白を多聞が断った事への不満から多聞とギクシャクする宮古は、「島まるごと学校」からの帰りの船の最終便を逃してしまい、学校で一夜を過ごすことを決意するが……

コバルト文庫の現代もの、楽しかったです。

自分はあくまで傍観者なので当事者にはなりたくありません!の主人公の女の子と、ネタにされてるのはなんとなく知ってるけどなぁ、という男の子の甘酸っぱい「初恋」ものと(掲題)、ふたりが無事くっついたあとの島にあるらしい「お宝」探しの続編。前半は前半で、いやいやいや、宮古ちゃん……というのがおもしろく、後半も宝に隠されたメッセージが想像以上にロマンティックでよいものでした。多聞くん、思ってたよりハードな立ち位置ですがなんか彼なら我関せずで貫いて行きそうな気がします。

最近はあまりコバルト文庫で現代モノが出てきませんが(この本も2008年のものですし)、やっぱりたまには現代モノもいいなぁと思う作品でした。またこういうのも読んでみたい。

アルカトラズの聖夜 妄想少女と無口な少佐
彩本和希/玖珂つかさ
集英社コバルト文庫(2008.12)
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