さまよえる本に結末を ウィルブック・ハンターあるいは甘い憂鬱 / 秋杜フユ

本の感想, 作者名 あ行秋杜フユ

村一番の狩人から求婚されながらも、その求めに応じずひとり母の残した家に住み、伯母の店を手伝うエステルは、珍しく村にやってきた青年ふたり組ベルナールとジャックに危ないところを助けられる。完成せずに不思議な力を持ってしまった「ウィルブック」に狙われているというエステルは、ベルナールらを家に泊めることになるのだが……

堅実に面白いお話だなぁと思いました。

コバルト文庫の新人さんのデビュー文庫を読んでみました。あらすじと表紙のあきさんのイラストにホイホイされたのですが、読めてよかったなぁと思います。

その生まれから村に溶け込めず、かと言って外に出ていくこともできずのエステルと、彼女の前に現れた不思議な青年の物語。全体的に優しい印象の強いお話だったのですが、エステルが置かれている状況がわりと現実的なものもあり、いろいろと考えさせられるものもありますね!年齢違いすぎるけどね!(気にしちゃダメ)ベルナールに背を押されてエステルが一歩踏み出していくところはよいものでした。
ベルナールの背景は途中でなんとなく予想ついちゃうし、エステルとおばさんのアレコレもきっとこういう方向に落ち着くんだろうなぁというところに落ち着いたりで驚きの展開ではなかったのですが、安心して読める一冊だなぁと感じました。始まりの、旅立ちの一冊でもありますので、続きもちょっと読んでみたいかも。これが続いたら親バカとか弟バカを堪能できると思うんだ……!


秋杜フユ/あき
集英社コバルト文庫(2014.11)
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