災いの魔女と幸いの王~初めての暗殺、引き受けました~ / 河上朔

本の感想, 作者名 か行河上朔

ひっそりと山奥に暮らしていたアリシアは、暗殺をしたこともないのに諸事情で暗殺の依頼を受諾し、その対象がいるらしい神殿巡りを行う王太子デュカイエ一行に潜り込む。都への帰還もあと少しというところで、アリシアはデュカイエとともに谷底に落ちるというハプニングに見舞われるが、尋常ではない不幸体質の二人の前には次々とトラブルが襲い掛かる。

少々ほっこりしてしまったのですが、ほっこりするどころかわりと大変なお話でした。

河上さんのアイリス読み切りのお話。河上さんの文体その他からなぜかほっこりしながら読んでしまったのですが、お話自体は割りにシリアスで、超ド級の不幸な体質を持つアリシアとデュカイエが様々な苦難を乗り越えていくお話でした。
ふたりともすでに不幸体質をわりきってはいるものの、乗り切ってはいない状態で同じ境遇の人に出会えたことから前に進んでいくところがよいものでした。最後の最後、デュカイエがアリシアを助けるために(側近にいいように利用されつつも)世論を塗り替えて波を作っていくところなどは、わくわくして面白かったです。WWの時と同じく、名前も出てこない普通の人々を動かして、物語が進んでいくという河上さんの作品のこういうところが好きだなぁと思いました。

災いの魔女と幸いの王~初めての暗殺、引き受けました~
河上朔/ギンガ
一迅社文庫アイリス(2014.08)
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