ばけもの好む中将 参 天狗の神隠し / 瀬川貴次

本の感想, お気に入り, 作者名 さ行瀬川貴次

尼寺でひっそりと暮らす二番目の姉が「踊る茸の精」を見たという話をうっかり宣能に聞かれてしまった宗孝は、宣能とともに件の尼寺に向かうことになる。茸の精の

振り回す宣能さまと振り回される宗孝が相変わらず楽しかったです。

シリーズ三作目。怪異を愛する宣能さまが宗孝を振り回してニヤリと笑うお話、なのですがだんだんと女御様周辺の政争もきな臭くなってきて、思った以上に大きな話になりそうだなぁ、といろいろと楽しいお話でした。
今回は「茸」がキーワードで、最初の怪異だけに関係してくるのかと思えば最後の方まで茸祭りでした。そして、宗孝の一家が思いの外さらっとややこしいことに巻き込まれていて、この見事なつながり具合にさすが瀬川さんだなぁと感心しきり。

最後の最後できりっとした宗孝に、怪異が絡まない時の宣能さまのクールさに少々笑ってしまい(四中将内での宣能さまのポジションがいいものです)、初草の君はかわいくて、そして十の姉上の謎は深まるばかりと続きも読みたいなぁ……!と続きをお待ちしております。

ばけもの好む中将 参 天狗の神隠し
瀬川貴次
集英社文庫(2014.12)
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