かけもち女官の花○修行(全2巻) / 乙川れい

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行乙川れい

元画家志望のアルマは第三王妃に女官として仕えるが、画家を諦める最後の作品を描くため、モデルを求めて幽霊が出るという翡翠の宮の忍び込む。そこで出会ったのは、普段は部屋に引きこもり夜な夜な出没するという第一王子ハンイリヒ。彼を幽霊と思い込み、理想のモデルに出会えたと信じるアルマはハインリヒをモデルに絵を描きたいと毎夜ハインリヒのもとに向かうことになる。

絵画バカの侍女とのらりくらい王子様のラブコメ、面白かったです。

第15回えんため大賞最終候補作の改作出版?の2作完結作品。画家を目指すもとある才能のせいで「人物画が描けない」ため画家を諦めてようとするアルマと、政争の種になることを避けてのらりくらりと生きていたハインリヒがアルマと出会うことにより表舞台に出て行くお話。アルマとハインリヒのラブコメも面白いのですが、このシリーズの醍醐味といえばやはり個性的すぎる登場人物でしょうか。アルマも大概変なのですが、一番強烈なのはどう考えても第三王妃のカトリーネ様(とその訓示を受けた女官たち)。花嫁修行の一環としての女官勤めですが、その女官たちに護身術を教えたりとやりたい放題(笑)。この物語の真の黒幕である王妃様が、物語をかき回していくのが楽しくて彼女の登場シーンは色んな意味でニマニマしながら読んでしまいました。

「画家」と「女官」、そして「花嫁(候補)」と「花冠(王族だけが召し抱えられる特別な画家)」との二足のわらじを履くことになったアルマと思いの外純情なハインリヒのラブコメ模様も楽しく、面白いお話でした。

かけもち女官の花○修行(全2巻)
乙川れい/増田メグミ
ビーズログ文庫
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