青薔薇伯爵と男装の執事~出逢いは最悪、しかして結末は~ / 和泉統子

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行和泉統子

お家断絶寸前のローズベリー伯爵家の前伯爵の孫として執事のアンに見出されたアッシュは、伯爵家の新しい当主として迎え入れられるが、伯爵家には多額の借金が残されており、債権者で隣人のケント公爵夫人から3ヶ月以内の完済を迫られてしまう。借金完済のために前伯爵がすべてをなげうって没頭していたという「青薔薇」の手がかりをさがすアッシュたちだが……。

天然は最強、の執事さんと口は悪いがお人好しな伯爵さんのドタバタコメディ(に見せかけてシリアス)物語。

ウィングスの和泉さんの新作は、男装執事ものでした。男装執事ものでした!(大切なことなので2回いいました) 性別詐称してる割にはあっさりアレですが、それはそれでよいものなのです……。

本誌収録の2話+描き下ろしの双子メイドちゃんの短編の全3話。和泉さんらしいドタバタさとシリアスさの見事なマッチングに、誰も彼もが怪しくてたいへん困るというお話でした。血縁関係がややこしくて、中盤までは何回か登場人物紹介に戻らないといけませんでしたけどねー。ローズベリー伯爵家で最後まで残った使用人の皆さん(特に男性陣)の背後が気になり過ぎて困ります。そして、アッシュの母方の一族のことも。謎は謎として残ったままでお話が進んでしまっているので、次の巻も楽しみです。

最初はウィングス文庫で出ていると思い込んでいて、書店(大きい)の新刊コーナーで見つけられずそんな……と思ったら、ソフトカバーが平積みされているところにドドンと平積みされていて気づかなかったという……置き場的には小説サイズのほうが嬉しいんですが、ソフトカバーも流行りですからねぇ、これからはウィングス文庫はコッチ方面にいくのかな、などと思いつつ。

青薔薇伯爵と男装の執事~出逢いは最悪、しかして結末は~
和泉統子/雲屋ゆきお
ウィングスノベル(2015.08)
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