異人街シネマの料理人2 / 嬉野君

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行嬉野君

育ての祖父が急逝し、異母兄・三ツ野冬基に引き取られ、冬基と三ツ野家の養子カイと暮らし始めた桃。今まで存在も知らなかった兄たちと徐々に絆を深めていく桃だが、桃が通う女子校で怪異の噂が流れ始める。(花と博士と吸血鬼)

桃ちゃん、末恐ろしいなぁ。

中編二話に描きおろしの短編一話の3話収録の二冊目。怪奇現象に関連して三ツ野家の謎が少し明かされる「花と博士と吸血鬼」、そしてとある逆恨みから冬基が誘拐されてしまうという事件が起きる「暫定的誘拐」、桃ラブな真礼さんが桃と旅行したいがためにいろいろがんばる「世界で一番有名な脚」。どれも面白かったですが個人的なお気に入りは誘拐話かなぁ……。冬基さんの煽りスキルとか、桃ちゃんの天性の女優スキルとか、とにかくいろいろすごかったです。
すごかったといえば各話に散りばめられている「壮大な話になりそうだなぁ」というような伏線らしきもののアレコレ。今までの嬉野さんの作品から考えて、絶対なんかすごい話になりそうな気がします。今までの作品、といえば作中思わずニヤリとしてしまう描写もあり、これは平行世界というか時間軸が違うけどアレなのかなと思いを巡らせてしまいます。

謎はいろいろと謎なままなので、引き続き次巻も楽しみです。

異人街シネマの料理人2
嬉野君/カズアキ
新書館ウィングスノベル(2016.07)
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