杖と林檎の秘密結婚 神に捧げる恋の一皿 / 仲村つばき

本の感想, 作者名 な行仲村つばき

下町で兄とともに食堂を切り盛りする看板娘のアップルは、街でも並び立つものがいないほどの酒豪。そんなアップルの前に、見目麗しい青年オーガスタがアップルに飲み比べを挑んでくる。青年を軽く返り討ちにしたアップルだが、オーガスタはアップルに求婚し、なし崩し的にアップルはオーガスタの家、伯爵邸に連れて行かれることになる。最近領内で続く異常気象を治めるため、領地を守護する神の力を取り戻すためにオーガスタの子供を生むか、神に捧げる料理を作ることを選ぶことになったアップルは、ひとまず仮の結婚をした上で伯爵邸の料理人としての料理をつくることにするが……

ヒロインが終始酔っ払ってた!

仲村さんの新作は、とりあえずアルコールが抜けてるときがないような気がする酒浸りヒロインと、下戸でシモネタバッチコイの領主様ヒーローという、少女小説的にチャレンジしたな……という面白いお話でした。
アップルが作る(酒場)料理が非常に美味しそうで、微に入り細に入りの料理描写でお腹がすいたときに読んではだめなやつでした。そして一方のオーガスタは、非常に気安い領主様で、これはいろいろと複雑な事情がありそうだ、そしてこのオーガスタの中途半端な力の原因を少女小説的に分析するとたぶん、あれ……という分析を思わずしてしまい、そしてそれがバッチリはまってちょっと嬉しかったです。こういう王道大好き!ヒロインとヒーローが全然王道キャラじゃないので王道も新鮮に見える(笑)。

決着がついたといえばついたのですが、それでもまだまだ続けられそうな話ではあるのでどうなるのかなぁと思っていたところ、続きも出ることが決まったみたいなので楽しみにしています。

杖と林檎の秘密結婚 神に捧げる恋の一皿
仲村つばき/加々見絵里
ビーズログ文庫(2016.12)
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