一華後宮料理帖 第三品 / 三川みり

本の感想, 作者名 ま行三川みり

長い間国交のなかった西沙国との国交樹立の話が持ち上がるが、難しい交渉に悩む皇帝に夜食を供する事になった理美は、西沙国の使節団の対応を一任された朱西への想いを封じようとする。朱西も理美と同じく自らの恋心を無いものとしようとする。そんな中、使節団をもてなすために、双方の国の料理を融合した料理を作ることになった理美は両国の料理人と協力して饗応のための品を作り出そうとする。

が、がっつり三角関係だ……!

故国で料理番の神職についていた理美が後宮の末席で料理にまつわる役割を得ることができて、理美の力になってくれる皇帝の側近と想い合っているものの、皇帝も理美に好意を抱いて理美をもとめて……と、昨今の(私が読んでいる)少女小説にしては珍しくがっつりの三角関係が更にがっつり進展するという、非常におおしろいんだけど決着ついたときに切ないぞこれ……という展開がだんだんきつくなってきました……面白いんだけど。普段三角関係になったとしてもああコレ当て馬だなってはっきりする程度の三角関係なので、いろいろと。

今回は外交問題。国交がない国の王弟さんがとりあえずご挨拶にきたので、次に話を進めるためにどうもてなしましょうか、というところで、美味しいものを食べて洗練されてる国であることを理解してもらうことで相手の心を掴んでしまおうという戦略が見事にはまり、皇帝としての業績になりうる成功を納めてほっとしたところにえらい展開を持ってきて容赦がないなぁと思いました。これはどっちに転んでも辛いものがあるなぁと続きも楽しみなんだけど読むのが怖い状況です。少女小説的には最後は朱西かなぁと思ってますが。

一華後宮料理帖 第三品
三川みり/凪かすみ
ビーンズ文庫(2017.3)
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