花嫁が囚われる童話 桜桃の花嫁の契約書 / 長尾彩子

本の感想, 作者名 な行長尾彩子

魔女と同じ容姿を持つ病弱な王女リースヘェンは信心深い父王に疎まれ、隔離されて育ち、彼女に関わるのは数少ない使用人と主治医である天才医師と名高いエレンフリートのみだった。異母弟である王太子が原因不明の病で倒れ、リースヘェンが呪っているせいと処刑されることとなったリースヘェンを、王との取り決めでリースヘェンの婚約者となっていたエレンフリートが引き取る。王よりリースヘェンの粛清権を買ったというエレンフリートは、リースヘェンを人体実験の被験者として扱うというが……

途中、お、ヒーロがヤンデレに舵を切った?と思ったらそうでもなくて最終的にHENTAIだったといお話(台無しの要約)。

オムニバス形式の童話シリーズ、4作目。時間軸的には一番古いお話で、全シリーズに登場されている妖精のクラウディアさんの由来が明らかに。おお、そっちかーと感心していました。告げ口ウサギさんも絶好調で可愛くて、今回の一番の功労者だったなぁとこちらにも感心していました。クラウディアさんと告げ口ウサギさん、なんかいいわぁ……。

ひたむきなリースヘェンに、彼女に異常なまでの執着をみせるエレンフリートの歪んだ愛情というヤンデレ展開かと思ってたんですが、進むごとにああこれ純愛……といういい意味での「実は」の展開が良かったです。ただ、ヤンデレなところも実は嘘ではないし、そして話が進むと「このヒーローのヒロインへの執着はHENTAIの域……」と何かを悟ってしまいましたが。

ベースとなる部分は重たいシリーズであるものの、くすっとできる部分とのバランスが絶妙で、そして糖度も良い感じなので好きなシリーズです。先日シリーズ完結作も発売されているので、ぼちぼちと追いかけたいと思います(あと2冊)。

花嫁が囚われる童話 桜桃の花嫁の契約書
長尾彩子/宵マチ
集英社コバルト文庫(2017/07)
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