ホーンテッド・キャンパス / 櫛木理宇

本の感想, 作者名 か行櫛木理宇

見たくもない「もの」が見えてしまう森司は、高校の後輩こよみに密かに恋していたが想いを伝えることができず浪人して大学に入学する。現役で同じ大学に入学したこよみがオカルト研究会に入ったと知り、なし崩し的に森司もオカ研に入会してしまう。そんなオカ研には怪奇現象に悩まされている人が日々相談にやってきて……

青春っていいっすな!というようなライトホラーでした。

少女小説読みにおすすめだよというような電波をキャッチして、だいぶ前に何冊か買って電子空間に積んでいたシリーズ。私はホラーが苦手というか自分からは絶対手を出さない分野なので、おすすめされなければ角川ホラー文庫には手も出さないのですが、おすすめされただけのことはありました!大学のサークルを舞台にした青春ニヤニヤ小説でした。そうか、大学のサークルってこんなにキラキラしてるんだ……(清く正しい大学生活を送ってたので、(面倒くさくて)こういうのとは縁がなかった)。

連作短編形式で、ひとつあたりの事件はそれほど長くないのでサクッと読めますし、その短い事件の中で森司くんがこよみちゃんにアタックかけようとしいろいろして自滅していくという様式美というか、ラブコメが楽しかったです。周囲は気づいているのにこよみちゃんは絶対気づいていないというこの様式美、いいものです。霊感ないけど博識な部長、霊感あって部長に付きそう幼馴染、ムードメーカーの先輩に、見えてしまう主人公と「もの」につけ狙われやすいヒロインという主要な登場人物もバランスが良いなぁと感じました。それぞれの事件はそれほど怖いものでもなく(ホラーが苦手な私でも問題なかったので)、ライトな事案から若干後味の悪い事案まで軽重取り揃えており、そちらのバランスも良い感じ。
絶対これ(主人公の恋心)なかなか成就しなさそうだなぁと感じつつ、調べてみたらいつの間にか既刊10冊超えてますね……ぼちぼち追いかけていこうと思います。

ホーンテッド・キャンパス
櫛木理宇
角川ホラー文庫(2013.1)
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