薬屋のひとりごと 11 / 日向夏

本の感想, お気に入り, 作者名 は行日向夏

戌西州で発生した大蝗害により州内の状況が悪化し、状況の打開のために隣国との開戦を望む意見が出てくる。戦の旗印に祭り上げられかねない壬氏は、戌西州領主代行の玉鶯が張り巡らす「罠」をなんとかやり過ごそうと綱渡りの対応を続ける。

終盤の展開が予想外のところから進んでいってとにかくすごかったです。

シリーズ11冊目は西都編の決着かな、という1冊でした。序盤からくすぶっていた問題の大きさと厄介さからもう1冊くらい引きずる展開かなぁと思っていたんですが、終盤のエピソードの転がり方がすごくて、あれよあれよという間に一応なんとかうまく落ち着いて一安心、なのかなぁ……(西都の人にとってはあんまり一安心ではないんだけど)。本巻で小出しにいろいろと出されていたとはいえ、最後の決着の付け方は、そこから転がるかーと純粋にびっくりしながら読んでおりました。あの人がまさかそこまで重要人物だったとはねぇ……。最初はただの苦労人と思っててすいませんでした。

あとは、今回はなんとか大事には至らなかったものの、いいように利用されそうになるところを紙一重でかわし続ける壬氏さんの気苦労がこれでもかと描写されていたので、本当にこの人不憫だなぁ……しみじみと感心しておりました。そんな壬氏さんの「補給」は今巻唯一の壬氏さんの心の安らぎだったとは思いますが、今までいろいろと大胆なことしておいてそれだけか!と突っ込みたくなるような控えめさでどうもある程度の補給が完了していたみたいで、本当に追い詰められていたんだねぇと違う意味でしみじみとしておりました。

西都編は一応落ち着いたとはいえ、壬氏がまた違う意味で貧乏くじ押し付けられてそうになってたりするので、ここからまた続くのか、はたまた違う事件が起こるのか続きも楽しみです。

薬屋のひとりごと 11
日向夏/しのとうこ
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