本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 兵士の娘2・3 / 香月美夜

本の感想, 作者名 か行香月美夜

相変わらずの虚弱体質ゆえの体調不良と身食いによる発熱で寝込んでばかりのマインだが、近所の少年ルッツの助力を得てついに紙を作るために動き出す。マインの考えだす商品に価値を見出した商人ベンノに助けられ、時にカモにされながらも紙づくりに邁進するマインだったが、今までにない身食いの熱に翻弄され、ベンノの口利きでギルド長と取引をすることで何とか身食いの熱を押さえることはできたが、このまま何の対応もできない場合は先が長くないという事実を知る。

うーん、やっぱり面白い(とても、とても今さらな感想)。

第一部を最後までどばっと一気に読みました!面白かったです!(という感想で終わってもいいような気もするんですがこの後つらつらとメモ代わりに何かを書きます)

第一部が兵士の娘、で三部くらいに領主の娘、になっててどういう話?と思っていたんですが、本を作るためにいろいろやってたらだんだん属性をステップアップさせることになったのね……?と第一部を読んでそんな感想を持ちました。たぶんそこに至るまでにいろんな葛藤というかなんというかはあるような気もしますが、でもこの本のためなら死ねる(比喩)というような基本理念を持つマインなら、本へ通じる道がそこにあるのなら悩みながらも前に進んでいくのだろうなぁというようにも感じました。なので、1部の中盤以降にたどりついていた「このまま」という選択肢にはちょっとびっくりしたんですよね。もちろん家族への愛という今までの彼女にとっては新しい軸ができたというのと、あとはこの時点での本への距離というのもあるかもしれないので、今後は本がぐっと近くになりそうという点もあり「あきらめ」はなさそうな気はするんですけど、どうでしょうねぇ……。

一方、転生前の知識でマインが無双するのは面白いんですが、いくら本の虫とはいえよくそこまで覚えてるな!と感心することしきり。自分が転生したとして(しない)、確実にここまで知識持ってないし生かせないし何なら野垂れ死んでることは確実だなぁとある種尊敬の念をもって読んでおります。今後マイン商会がどんな製品を提供していくのかも含めて2部以降も楽しみです。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 兵士の娘2
香月美夜/椎名優
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本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 兵士の娘3
香月美夜/椎名優
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