2001年10月の本の感想


氷の肖像  ブローデル国物語
橘香いくの・コバルト文庫

下の「翠緑の森の騎士」では完全に悪役だったディヴァリエ侯マルセルの亡命した先での物語。前作はヒロインのシャロンのせいか軽い話のように思われましたが今回は打って変わって少し重め。幼い頃からただ一途にマルセル思い続けるニノンのの心理がもう、涙を誘います。
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翠緑の森の騎士  ブローデル国物語
橘香いくの・コバルト文庫

コバルト文庫を読む醍醐味を味わえる単発作です。本としては上の「氷の肖像」とシリーズなんですが別々の物語といえばそうです。結婚をいやがって脱走するも、なぜか誰からか命を狙われている元気娘シャロン。それを追いかける弟テオ。シャロンの嫁ぎ先(予定)からシャロンを迎えにきた騎士ラウール。何と言ってもラウールがかっこいいですなぁ。お話は完全にハッピーエンドですが、続きとしてシャロンとその旦那の結婚生活編なんて読んでみたりしたいです
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後宮小説
酒見賢一・新潮文庫

架空の中国王朝の後宮を舞台とした物語。出だしがいきなり「腹上死」だったりして面食らう。物語は客観的に淡々と進んでいくくせに、ぐいぐいと引きつけるものがあって読み出したら止まりません。主人公の銀河の持ち前の明るさと前向きさが最後に強さに変わる様は読んでいて爽快です。いろいろな種類の「強い女性」がでてきて、皇帝の影が大変薄い…。学問にまで発展している「後宮哲学」が今まで触れたこともないようなものだったので面白かった。お気に入りキャラはやっぱり江葉かな。『楽園の魔女たち』のサラ・バーリンに通じるものがあるキャラです。の二つの話はある意味通じる物があるように思います。
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クールフェイス 3.ロイヤル・ブルー
藤原征矢・ソノラマ文庫

クールフェイス第三弾。幻の蝶を探す(そのリンプンに眠りの作用を持つ)旅に出るリデル陛下とその一行。なんでも、その眠りの粉のおかげで戦争回避らしい(by皇后&陛下)ですが。そこら辺は甘いかなぁ。でも、ソノラマだし。いいかということで軽く読み流しましょう(「なんでそんなに簡単にたかだか蝶を探しに行くくらいで国王が危険な目に遭いに国外に出るんだろう」と思ってしまったことは確かです)。前の巻でどう考えても死んでそうになかったあのお方が再登場。そして敵の総大将も若くて美青年(?)ときたものだ。リデル陛下も戦争の現実を見つめたりしてひとつ大きくなられたお話でしょう。<→この先、やっぱりガルディアがレニーに惚れる、なんてパターンを期待している私…。それに嫉妬するタニア大尉。うーん、ソラノマにそういうのを期待する私はたぶん間違っているのだろう←>
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クールフェイス 2.ストレンジャー
藤原征矢・ソノラマ文庫

クールフェイス第二弾。やっぱり陛下はプリティーで、レニーはかっこよかったです。あとはレニーの幼なじみのエリカ(一巻目から登場)も我が道を行っていましたね・・・。あとは皇后様(リデルの母)の性格もなかなか・・。暗くなりがちな題材を扱っているはずなのに雰囲気は決して暗くないところがいいなぁと思いました。あとはサルベージ品とか、失われた技術の使い方が上手い。
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クールフェイス
藤原征矢・ソノラマ文庫

宇宙な話を読みたくて選んでみたら実は宇宙モノじゃなかったというソノラマ文庫本。ソノラマを読むのは久しぶりでした。未来の地球。文明は破壊され、昔の高度な文明の遺品は「引き上げ品(サルベージ)」といわれて重宝されている。そんな世界の中でも大国・神聖イレリア王国の女王様の護衛役に任命されたレニー・カレッカ。士官学校を最年少で卒業し、卒業生総代を押しのけてその任に抜擢された理由は「女王陛下(10才)の遊び相手」。「クールフェイス」とあだ名されるレニーの冒険物語です。
なんといってもリデル陛下がプリティー。かわいいかわいい。レニーもかっこよい。レニーの同僚のタニア大尉もかわいいのです(一番ツボなキャラ)。いわゆる超能力者の「タイプE」という設定がうまいこと生かされているように思います。物語の根本に当たる設定も結構面白い。それとイラストも合っていていいです。冒険活劇モノが好きな人はお暇があればどうぞ。全五巻。読みやすいです。
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ローゼンクロイツ アルビオンの騎士(前編)
志麻友紀・角川ビーンズ文庫

王道パターンをたどっていて、面白いと言えば面白いんだけれども。やっぱり、主役二人が(片一方がいくら女性らしくても)男男というわけで、心のどこかで拒否反応が起きているために楽しさ1割減。ヨーロッパ的な雰囲気の思いっきりラブラブ小説が読みたい方は読んでみてもいいかも。ただし、モテモテヒロイン(?)は、ヒロインは、男……。
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皇国の守護者 5 英雄たるの代価
佐藤大輔・中央公論新社C−novels

それにしても人間関係がどろどろしている物語だなぁ。策謀劇(というか、込み入った話か・・・)苦手だからストーリーの流れが私の頭では半分も理解できていないかも・・・。今回も初姫様(麗子?礼子?どっち?面倒くさいから初姫様で通そう)が悩殺なほどかわいかった。あとは天龍の坂東家の会話がgood
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皇国の守護者 4 壙穴の城塞
佐藤大輔・中央公論新社C−novels

皇国4巻。自分の力が及ばぬ他者の領域。どうにもできぬ理由で敗北を味わい続けた新城は、絶望的な戦力差の下ついに一軍の指揮権を握った。不完全な城塞に籠もり牙を研ぐ新城と、天才作戦家ユーリアの激闘!〈←カバー引用)というような内容です。3・4巻と一気に読んでしまいました(そしてまたしても、苦手な描写はトバシまくって読んでいるという暴挙を犯しているため通読時間は結構短い)。ストーリー追うだけでも楽しいのです。今回のイチオシキャラは丸枝配膳係(勝手に命名)でしょうか?ついつい彼を応援してしまいました。次の巻まで生き残ってくれているといいのですが。今巻ではついに新城とユーリア姫が・・・っ!気になる幕引きだ。
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皇国の守護者 3.灰になっても
佐藤大輔・中央公論新社C−novels

皇国三巻。先の戦いで軍功をあげた新城は皇主に奏上する栄誉と引替えに、近衛とは名ばかりの弱兵部隊への転属を命じられた。練兵の間もなく決戦の時がやってきて…。(←カバー引用)というような内容です。竜の坂東がいっぱいお出まし。礼子姫(前巻までは麗子だったのに・・。誤植?)もかわいいです。そして美形キャラひとり追加。新城の個人的副官冴香(両性具有者)さん。やっぱり有能な美形はいいですねぇ。
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ローゼンクロイツ 仮面の夫人
志麻友紀・角川ビーンズ文庫

前々から気になるといえば、かなり気になっていたのです。ちょうど三時間ほどの空き時間があって、何もすることがないので迷い込んだ超大型書店にて見つけてしまって、買ってしまいました(ビーンズ版)。もともとティーンズルビーで出てたのを新創刊のビーンズ(このシリーズの最新作が第一回配本に)に移籍させたもので内容的には変わらないみたいです。躊躇していた理由はあれです。ボーイズです。苦手なんですよね・・・。読んでみた感想はというと「大変好みなんですけど・・・」です。グランドロマン、というか、宝塚になったら見に行きたいぞ。ただ、なんでセシルが男(登場人物紹介の時点ですでに判明)なんだ〜。女の子でも充分いける・・・。話の筋も王道パターンですがいいんです。私の好きな王道です。続きも読んでみよ(惜しむらくはセシルが・・・<以下自主規制>)。さいとうちほさんの絵が大変美しいです。
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姫神様に願いを 〜巡恋夏城
藤原眞莉・講談社コバルト文庫

コバルトでそれなりに新刊が出ているシリーズ「姫神様に願いを」の7冊目。簡単にいえばテンという少女巫女の姿をした摩多羅神と彼女に惚れられたあやしい有髪童顔僧のカイのらぶらぶ珍道中を描いた物語です。舞台は舞台は戦国時代くらいなのだろうか・・・?日本史を知らなくても十分に楽しめます(しってた方がもっと楽しめるでしょうが)。何よりも話のテンポがこぎみよいのですぐに読めます。日本の昔の話なのに文中に横文字が出てきて多少違和感は感じるもののこのシリーズならいっか、と妙に納得してしまいます。何といつの間にか11冊目までいっているようなのでそのうち機会があれば。
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スリピッシュ! 盤外の遊戯
今野緒雪・講談社コバルト文庫

スリピッシュ!の二冊目。主人公のアカシュがさらわれてしまうので彼は今回は割といいとこなし。代わって美形の副官さんのエイが大活躍。そして猪突猛進トラウトさんが今回もまたしても(敵・味方に関わらず)いいように使われている次第でございます。前回一発キャラかも、と思われたロアデルさんもきちんと活躍しています。今野さんの本はスタンダードに面白いので一冊読んであうのなら他のシリーズに手を出してみるのも一興かと(マリア様がみてるはその中でもダントツに面白いのです)。
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スリピッシュ! 東方牢城の主
今野緒雪・講談社コバルト文庫

ヨーロッパっぽいといえばそういう雰囲気の物語。お話の内容について書いてしまうとどうしてもネタバレしてしまう内容なのでキャラクター達について。メインは女の子ひとりに男性三人なのですが、その男性陣がいい味だしてます。中でも一番気に入ってしまったのは質実剛健猪突猛進のトラウトさん。主人公さんとその副官にいいように使われている感は否めませんが、ああいう一直線キャラは読んでいて面白い。今野さんの本は文章がさらっとしていて読みやすいのでオススメです。
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灰髪姫と七人の醜男
ゆうきりん・講談社コバルト文庫

簡単にいうとシンデレラをモチーフとした復讐ストーリー。一冊完結ということもありかなりさくさくっと読めたのですが、主人公(シンディア)にあまり好感を持てませんでした(というか。嫌いなタイプだな・・・。終盤はかなり好感度アップでしたが)。何よりも不満なのは王子様だ!あんなの王子様じゃない!!ほんわかハートフルラブストーリー(ばかりではありませんが)好みな私にとっては何とも納得いきませぬ。
それと噂には聞いていたのですが、なかなかに描写がグロイです。コバルトではちょっと浮きやしませんか・・・?この話については、ほんわか(以下略)が好きな人はあえて読むよいうことはしない方がいいかもしれないです。
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皇国の守護者 2.勝利なき名誉
佐藤大輔・中央公論新社C−novels

皇国第二巻。私としては一巻よりも読みやすかったような(慣れただけかも)。このお話の設定が何とも言えずよいのです。前の巻で言い忘れたのですが、主人公の新城が助けた天龍(今回も登場)の名前と性格がよいです。「坂東いちのじょう(漢字失念)」って。今まで竜=カタカナ名(もしくは中国名)という認識だったので変に感心。
そして今回新登場の新城の義姪の初姫様(麗子ちゃん)に一発でノックアウト。かわいすぎ。殺伐とした戦争物なのに、あんな女の子がひとり出てくるだけで心休まります。
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晴れやかな午後の光  足のない獅子
駒崎優・講談社ホワイトハート

中世イングランドを舞台とした見習い騎士のリチャードとギルバートの物語『足のない獅子』の短編集。前の話「開かれぬ鍵 抜かれぬ剣(上下)」で騎士になった二人ですが、その二人の少年時代を描いているもの(「宝物」「掏摸」)、ギルバートの父母の結婚話を描いているもの(「結婚」)、あの俗物神父ジョナサンの若かりし頃を描いているもの(「叙任」)の4本立て。なんのかんのでオールキャスト勢揃い。題名にふさわしいあったかふんわりとした心休まる物語でした。
それと、この巻の表紙はリチャードとギルバートとトビー(二人の小姓、?)のちっちゃい頃のスリーショットなのですが、かわいすぎる!!やっぱりこのシリーズは好きです
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皇国の守護者 1.反逆の戦場
佐藤大輔・中央公論新社C−novels

すいません、思いっきり浮いています。少女小説群の中に佐藤大輔……違和感ありまくりです。読んだ理由は割愛。
それはさておき。すごいです。今のところ(というか、この話の舞台が)冬のお話でして、戦場での臨場感がひしひしと。今までそこらへんについては甘めの本しか読んでいなかったのである意味で感動ものです。私にとっては大変小難しい描写が多いため(舞台背景や武器とかの設定の描写)、そこら辺はすっ飛ばして読むという暴挙を成し遂げています……。もう一回読むことになるのは必死。ストーリーだけ追っていても次がメッチャ気になりますので時間がかかりそうですが全部読んでみようと思います。お気に入りは剣牙虎の千早。そしてもちろんユーリア姫も。
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黒い塔の花嫁 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険
橘香いくの・講談社コバルト文庫

物語が一気に急展開を見せる巻です。コラリーとフェリックスがいない間に行方不明になっリゼット嬢。その真相は大きな陰謀が隠されていて・・・。この巻はあの<シュシナック>が出てきません<→あの青年医師がもしや?と邪推してみましたが。何しろ彼は神出鬼没です←>。ちょっと物足りないかも。密かに気に入っている国王秘書のマイエさんの出番が大変多く、彼とリゼットの間に進展がないとおかしいような展開でしたので個人的に満足です。
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月の人魚姫
榎木洋子・角川ビーンズ文庫

宇宙飛行士を夢見る海の民の王の末っ子イルは嵐で難破していた船から救出した陸の王子エアリオルから求婚されてしまう。というような人魚姫を題材にしたラブコメです。笑い有り、事件有り、陰謀有り、恋愛有りでたしかに楽しめるのですが、そこはかとなく感じ取ってしまうボー○イズの雰囲気がちょっと・・。イルは未分化(性別なし)で、行動がどう見ても元気な男の子ですから・・・。すっごくすきなパターンの話なので、もしも続きが出るのなら最後はやっぱりイルが女性に分化してハッピーエンドになってほしいです。
ヒーローのエアリオル王子があまりにも影が薄くてかわいそうかもしれない。次回があるのなら次回に期待
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影の姉妹 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険
橘香いくの・講談社コバルト文庫

コラフェリ(勝手に省略)の第12巻。アニエス編の決着が付きます。前の巻「黒い塔の花嫁」で入れ替わってしまったリゼットとアニエス。『リゼット』を取り戻すために奮闘するコラリー達。何と言いますか、マイエさんがいい感じだったのでヨシとしておきます(情けないといえば、大変情けないのですけれども)。謎が謎を呼ぶ<シュシナック>の正体が気になります・・・。
アニエスにもうちょっと救いがあってもいいんじゃないかと思ってしまいました。最後の死に様も別に悲惨といえば悲惨だけれども、主役の面々をあそこまで苦しめたわりにはあんまり華麗な死に方じゃないな。どうせなら潔く自分から命を絶つとか・・・。クライマがイマイチでして。
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ジャック・ザ・ルビー 遠征王と双刀の騎士
高殿円・角川ビーンズ文庫

成りゆきから大好きな温泉巡りをかねたトーナメント出場の結果、いつのまにやら女城主の愛人になってしまったオリエとジャック。ちょうどその時、隣国は不穏な動きを見せるも国王不在のパルメニアの議会は・・・。

『マグダミリア(ティーンズルビー・全二巻)』や『我が王に告ぐ(ビーンズに移籍)』などの世界より250年ほど前のお話。期待通りとても楽しめました。登場人物がオリエ(パルメニアの女王アイオリア一世。ただし女たらし)を筆頭に一癖も二癖もあるようなあくの強い人ばかりです。登場人物紹介からして笑い誘発(例:趣味で温泉巡りをするうちに、何となく遠征したことになっている とか みんなのアニキ とか)。今回はジャックが主人公なので、オリエの方の内面はほとんど触れられることがありませんでした。が、どう読んでも続いてくれそうなお話となっていますので待っています。
さて、余談ながらも一番気に入ってしまったのはコック団。最強すぎて涙が出そう……。
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