2001年11月の本の感想
リングテイル 勝ち戦の君
円山夢久・電撃文庫
電撃文庫、表紙読み。あらすじからも好みっぽい話だったので。主人公のマーニは魔道師見習いの女の子。ひょんなことから大魔道師フィンダルの弟子になり、戦争に行くことに…。
いい感じにファンタジーで、「勝ち戦の君」とはなんぞや?というのが気になったので最後まで一気読みです。文中に出てくるバラッドやらも雰囲気がとっても好きだ。かわいい(?)小動物は出てきますし、フィンダルは渋いかっこいいおじさんです。そして、最初はやなやつだった王様も最後はかっこよくなる。
やっぱり、女の子が頑張っている物語は好きだ。
スカーレットウィザード外伝 天使が降りた夜
茅田砂胡・C−novels Fantasia
『スカーレットウィザード(全五巻)』の外伝。位置的には六巻といっても差し支えのない内容。新作を読めるうれしさと同時に、これでもう赤魔女も終わりだな、と思うと微妙な気分でした。そして読んだはいいのですが、何を書いても物語の根幹に関わるようなネタバレになること確実なので以下、背景色と同じ色で書きます。ネタバレですよ。ネタバレされたくない人は絶対に反転させてないでくださいね。
<→それにしても、こんなところで『デルフィニア戦記(全18巻)』とつながっているとは思わなかった。最初の方でラー一族が出てきていたからちょっとくらいはつながってるんだろうな、と思っていたけれども、ここまでばりばりにリンクしているとは。大半がジャスミンがいない状態なので、海賊と女王の掛け合いが少ないのはやっぱり寂しいです。その代わりといってはなんですがキング・オブ・パイレーツに憧れるダニエルとケリーの会話が一番おもしろかった。ケリーの心の突っ込みがいかにも茅田さんらしくてよかったです。←>
とにもかくにも、赤魔女はこれで終わりです。またおもしろい次回作を期待しています。
A君(17)の戦争 1.まもるべきもの
豪屋大介・富士見ファンタジア文庫
久しぶりに読んだファンタジア文庫が大当たり。おもしろかった。地の文がポップでとても読みやすく、登場人物にクセがあってキャラが立ちすぎてます(笑)。異世界に召還されてしまうA君はアレ(…)な性格で、異世界の魔王様もあんなんですし。戦争大好きなお姫様シレイラ王女のあの猫かぶりぶりもおもしろいし、その兄王はアッチな世界の人だし。こう書いていくとなんだかすごい話のようですが、実際すごいです。基本はコメディーなんですが、中心部分は感動的なところも。あとは絵がラブリーです。物語のあのポップさにバッチリあっています。
異世界に召還されてしまう話としては、似たように面白い召還のされ方の『
今日からマのつく自由業!』がおもしろいです。この二つの話はある意味通じる物があるように思います。
汝、運命に挑む者たちよ
片山奈保子・集英社コバルト文庫
待っていた『<汝>シリーズ』がどうやら再会の模様です。『
シャドー・イーグル』もいいんですが、こちらも好きです。シリーズ通算6冊目にて、物語は佳境。狼に育てられた「狼憑きの少女」シャナと「銀の託宣」を受けた青年神官イグドゥルのコバルトらしい(?)恋愛物です。今まで舞台はほとんどが片田舎のアズバルト村だったのですが、今回物語は王都に移りまして。ティハノやらなんやら、村の面々が密かに気に入っていた私は、彼らの再登場を待ち望むばかりです。シャナがいきなり王妃になったりと風雲急を告げる話の運びとなっておりますが、とりあえずベタに甘々な展開になっていますのでよしとします。
闇の果て 光の宴 フェラーラの織天使<
吉田縁・角川ビーンズ文庫
この人の書く世界観(中世ヨーロッパ的な雰囲気とか)が好きなのでとりあえず読んでみました。今回は中世よりももう少し後、ルネサンスぐらいのイタリアの話みたいです。主人公のイッポリートが健気なやつです。
派手な展開ではないので一気にぐいぐいと読み進めていくとかいう系列の物ではありませんが、じわじわと味のある世界ですね。最後の方がこれまたどたばたっと終わってしまうので少ししりすぼみ的な感も否めないかも。
奈落の女神 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険
橘香いくの・集英社コバルト文庫
『
翡翠の眼』(←フェリックスが負傷しまくっている)の次のお話。またもやコラリーが大事件に巻き込まれています。。国同士の利益関係の話も少しだけ絡んでいたのですが、いつもそこら辺はさらっと流して読んでいるので理解するのに時間を要した…(自業自得)。いつもながらフェリックスは暴言垂れ流しだし、テランス陛下は鉄壁の仮面をかぶっていらっしゃるし、マイエさんがすこーしだけ登場して。それに<シュシナック>が妙におとなしくて新鮮だった。犯人はおおかた予想通りといえばそうですが、救いがなくてちょっと切ない。
見習い死神修行中!
樹川さとみ・角川ビーンズ文庫
題名とあらすじからはコメディを連想してしまいますが(実際中盤までは立派にコメディ)、いつの間にかシリアスモードに突入していたりしてさすがだなぁと思います。ただ、一冊で終わっているために最後の展開はだだだだっと畳みかけるようなスピードです。ただ、最後のオチがようわかりませんでしたね……。師匠+だっこ人形ときて『赤ずきんちゃちゃ』の先生(名前忘れました)を思い出したのは私ひとりではあるまい。
ローゼンクロイツ アルビオンの騎士(後編
志麻友紀・角川ビーンズ文庫
本当にいい感じに王道たどりまくりです。新キャラのラルセン提督(かのネルソン(語感がそっくりですね)がモデルらしい)もいい味だしてます。前にいいところのなかったオスカーに見せ場がたくさんあって楽しかったですね。しかしそれに比例して情けない醜態を晒していくヴェンダリス王子。王子様なんだからもっとかっこよく頑張ろうよ、と思わずエールを送りたくなるくらいのへたれっぷりです(汗)。これからもセシルをめぐってオスカーと王子の対決が続くのでしょう。
今回は直接的な描写がほとんどなかったので、セシル(♂。でもヒロインだ…)を完璧に脳内変換で女性に見立てて読むことができました…
クリセニアン年代記 17.勝利の夢ははばたく
ひかわ令子・小学館キャンパス文庫
久しぶりです。2年ぶりの新刊だったのでもう話の内容なんて半分飛んでいました。既刊を読み直そうにも時間がなさそうなので思い切ってあらすじだけで本編突入です。男女問わず美人さんがてんこもりのお話です(いや…、男性陣の方が割合高いか)。登場人物紹介だけで4ページ・24人も費やしている大河もの。どうやら次で完結するらしく、12月発売とのこと。全部読み終わってから改めて一から読み直してまともな感想を書こうと思います。