2002年2月の本の感想


チェンジリング 碧の聖地
妹尾ふゆ子・角川ハルキ文庫【bk1

妖精を見る能力を持つOLの美前。彼女は<取り替え子>であり、<輝きの野>の<世継ぎの君>であることを知る。状況を改善するためにも、彼女の<騎士>であるリンと<輝きの野>に向かうことを決心する。しかし、あちら側の世界で待っていたのは、美前を<世継ぎの君>としてもてなすことでもなく、神々と立ち向かうことを決心するもう一人の<取り替え子>マァハであった。

下の「赤の誓約」の続き。前巻が始まり編なら、今回は完結編。骨太の物語です。うーん、満足。美前の自分ではどうしもようもできない、やるせない感が何ともいえない。<輝きの野>のシステムや、そこに住まう人々の価値観もおもしろかった。赤の誓約ではられていた伏線もどんどん解かれていくので、これは2冊セットで読むことをおすすめします。
そしてですね、やっぱりリンはかっこよかったのです。美形・寡黙・強いの三拍子そろってます。言動の一つ一つがかっこええ〜。
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チェンジリング 赤の誓約
妹尾ふゆ子・ハルキ文庫【bk1

妖精を見る力を持つOLの美前。携帯電話への無言電話に悩まされていたある日、金髪の不思議な少年に出会う。その日から、彼女の運命は大きく変わっていった。そして、最後に彼女の選んだ選択は…。

ケルト神話の<取り替え子>が根幹をなしています。妖精やら、<女王>やら<騎士>やら<琴手>やら、そんな単語がいっぱい。こういう世界が好きな人にはたまらないんじゃないでしょうか?ちなみに、私はこの手の話がとても好きなので、かなりツボでした。ツボといえば、登場人物もよいです。みんなキャラがちゃんとたっていて。特に、リン、あんたに惚れたよ…(バカです。ごめんなさい)。もう、めちゃくちゃかっこいいんですよ。そして、主人公の美前は、どこにでもいるような女性。そんな彼女の心理描写がすごく丁寧で、ぐいぐいと引き込まれました。あーおもしろかった。今回はあくまでも「始まり」編。まだまだ謎な部分がいっぱい。続きが早くよみたい。
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ハーツ ひとつだけうそがある
松井千尋・集英社コバルト文庫【bk1

高校にも行かず、水商売で生活の糧を得ているテル。そんな彼にきた儲け話は、違う人物になりすまして、ある女の子と恋人になるということ。

テルがまるで犬です。忠犬です。本当に一途に真純のことが好きなんだなって文章からにじみ出ている。真純もハンディがあるなんて全く悟らせないような、気の強い女の子。これまたネタバレしそうなのでこれ以上いえませんが、とにかく最後の手紙は反則だ。感動物です。
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水魔の誘惑 みき&リョウ 見鬼ファイル
後藤文月・角川ティーンズルビー文庫

学園ホラーもの。かっこいいのに小心者のリョウと、一見美少女のみき(男)が学校で起こっている怪事件を解決する、というお話。リョウの過去話に少しじんときた。読んでいて思ったのは、いやはや、女の子って怖いなっと。『そして〜』でも思ったことだけど、この作者さんは人間のどろどろとした面の描写がいけてる、と思った。なかなかリアル。ただ、あの終わり方にはちょっと”?”と感じてしまう。あれはあれでいいかもしれないけど、もっと社会的制裁を受けた方がよかったんじゃないかな?すこしそこら辺が私には合わなかったかもしれない。
みきがまだまだ謎に包まれているので、次回以降に期待。
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 『そして、世界が終わる物語』 

レディーガンナーの大追跡 下
茅田砂胡・角川スニーカー文庫【bk1

前の冒険編で出てきていた用心棒四人組も活躍して納得のいくできでした。「人」と人以外の生き物の確執というか、結構重いものが主題にきているので内容はやっぱり重めです。なんといいますか、美形大行進?蛇のヘンリーさんを始めミュリエルさんなど、美形がたくさん出てきますよ。それにしても、ダムーのパンツってじょうぶですね。あとは、ニーナがぼけキャラっぽいのに、妙にしっかりしたところをまたもや見せてくれました。彼女はこのシリーズの中で一番お気に入りのキャラです。有能な侍女っていいな。
次回作はキャサリンの恋模様が描かれる予定だそうで。いままで、ヒロインにそんな要素があんまりなかったので、ちょっと楽しみです。
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 『レディーガンナーの大追跡 上

斎庭穂垂
宮乃崎桜子・講談社ホワイトハート【bk1

平安時代の陰陽師もの、じゃないけど、そんな感じの『斎姫異聞』シリーズ。ちょうど藤原道長の時代です。神の子である宮と義明のじっれったい関係を軸に、なんだか壮大なお話が展開されていっているようです。前巻で現れたラスボスっぽい夜刀神が、宮の体を手に入れようと暗躍してます。
そして、今回特記すべきは宮の嫉妬。何のかんのといって義明を頼りにしている宮。なんだかかわいい。このままいい感じに相思相愛には、ならんもんですかね…。二人の微妙な距離感がこのお話の醍醐味といえば、そうなるのです。
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KLAN1
田中芳樹・集英社スーパーダッシュ文庫【bk1

田中芳樹の新作だ〜と思っていたのに(ずっと前)、どうやら出し直しの模様。アニメ化を前提として作られているので、なるほど、そのような要素がたくさんだ。かっこいい薄幸のヒーロー(主人公)、大物な主人公の父親(ただし、やっぱり影は薄いかも)、思わずきゅっと抱きしめたくなるような主人公のかわいい妹(しっかり者)、謎のフランス人美少女、工作員養成所出身のあやしい関西弁をしゃべるロシア人(もちろん美形)。そして、これにいのまたむつみさんの絵がバッチリあっているのです。話の作りや設定は、やっぱり上手いな〜って思うような、満足のいく冒険活劇のエンターテイメント作品でした。政治批判少ないから読みやすかった…。
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ダイスは5
松井千尋・集英社コバルト文庫【bk1

周囲の環境が人為的に急激に変化した尚美。そんな彼女の元にある”遊び”の招待状が舞い込む。ゲームの参加者は、お互いに顔も名前も知らない、それぞれ違う学校に通っている6人の高校生…。

いろんな所でよい評判を聞くコバルトの新人さんの二作目、ダイスは5。ごめんなさい。ずっとコメディーだと思っていました。タイトルからしてコメディーっぽいから…。内容は、内容は私の貧相な文章力では、どうかいてもネタバレ。ただ、読んでいて尚美の気持ちを追うのがつらかった。やるせない気分になってしまうんですよね…。
文章中のさりげない伏線が、最後に一気に解けていき、納得しながら読むことができました。最後は気持ちのよい終わり方です。
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ダルリアッド 駆け抜ける蒼き宿命
駒崎優・角川ビーンズ文庫【bk1

旅人のガード(護衛)を生業とするジーンは、過去をなくした不思議な少年ルネと、オシアン族であるルネの姉マルクリールのガードを引き受けることとなる。姉弟が探しているのは、伝説の楽園。

古代スコットランドが舞台(こういう、古代○○って言う設定に弱い私)。とんでもない美貌を持った故に神様の愛人になってしまった、死にたがり青年トゥーレの復讐物語。ちょこっとBLの要素があったんですけど、面白いからあんまり気にならずに済みました(下の「そして、世界…」も、BL風味でした。そういえば)。ちょっとでもそういう雰囲気があったらダメって言う人以外なら読めます。この一冊できれいに終わっているので、あとがきに「続く」とあるのですが、果たしてどう続いていくのか気になるところです。片思い神様ルーグが一途で何となくいいです。
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そして、世界が終わる物語
後藤文月・角川ビーンズ文庫【bk1

表紙買い?いいえ、分厚さ買い。ちょっと分厚い本を読みたい気分だったので。読んだあと、久しぶりに少し呆然としてしまうようなお話でした。話が面白くない、とかそういうのじゃなくて、クライマックスからラストまでのスピード、いつの間にか最後のページにたどり着いていました。読み終わったあともちょっと混乱してて。
この本は、帯の部分でちょっとひいてしまいました。なんせ「究極の、主従関係 世界を救うために―最愛のあなたを殺す」、ですよ!たしかにその通り、といえばその通りのお話でした、が<→冷静に考えてみると、あのお方を殺したのは世界を救うためじゃないだろ、と。←>。内容はかなり暗めな話なので、暗い話が好きな人向け?一応、女性キャラは出てきてまして、二人とも好感度がよい。<→願わくば、後半の彼女にもうちょっと活躍してほしかった。←>
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楽園の魔女たち 〜月と太陽のパラソル(前編)〜
樹川さとみ・集英社コバルト文庫【bk1

今回の主役はマリア。ついに、結婚して3分で未亡人となったマリアの夫探しが始まります。今までマリアって何となく影が薄いと言いますか(いや、薄くはないんだけれども、マリアのエピソードがなかったと言いますか…)、他の3人の娘さんたちに比べたらやっぱり、どこか一歩遅れていたのですが。濃いですね。すごく。そして、4人の娘さんたちの中で一番恋愛要素が強いじゃないか。旦那のジュエル様も美青年っぽくていいぞ。ダナティア殿下の相手、など気になる要素がたくさんでした。後編が待ち遠しいです。
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流血女神伝 砂の覇王6
須賀しのぶ・集英社コバルト文庫・本体476円・【bk1

ラクリゼが、ラクリゼかわいい…(読み終わったあとのとりあえずの感想)。4巻やら5巻やらのラクリゼって怖かったのに、一皮むけましたな。この人の書く「スーパーマン(ウーマン)」って、完璧なのに、どうでもいいところが抜けていて大好きです(例えば、キル・ゾーンのマックス。彼も私のイチオシキャラのひとりでした)。お話もどんどん進んでいって、本当にすぐに続きを読みたいです。あとは思わぬ所に伏兵が。バルアンの娘たちもかわいい…。イウナもスゥランもかわいいなぁ。お姉ちゃんの方は物語をあれよあれよと引っかき回してくれるのでしょう。
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 『ウォーターソング

反風水師誕生
麻城ゆう・C-novels・本体780円・【bk1

風水とかにあんまり興味ないんですけど、何となくおもしろそうだったから読んでみました。主人公が美少年だったから、なんてコトはあんまり関係ないです(苦しい言い訳…)。キャラの性格、特に、忍のぶっ飛んだのが、いいですねぇ。あの外見で、あのコアさ。現実にはいてほしくない。絶対。話もどんどん進んで行くし、突拍子もないクライマックス(と感じた…)ですぐに読んでしまえます。
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星のカーニバル 姫君と婚約者
高遠砂夜・集英社コバルト文庫・本体467円・【bk1

外伝集、というか、短編集。レイ・レナ姫の苦悩を描くいっこめ。(あ、レイ・レナ姫はいつも苦悩してたな…)リオのガルディア観察日記のにこめ。シリス王子がやっぱりいい感じのさんこめ。1つ目はレイ・レナ姫の双子に対する心遣いというか、そんなのがメインですね。個人的にヒットしたのはやっぱり2作目。ガルディアって、<→少女小説読んだんだ←>…。短編集でしたのでいろんなキャラが勢揃いでそれなりに楽しめました。
01/27/02 ↑TOP