2004年12月の本の感想
鏡のお城のミミ 異国の素敵な空のした
ミミを忘れるためにカルネー公の命に従いアルロン自治領の治安回復に向かったエリックとポール、それにギー・ギー。一方ミミはエリックの後を追ってアルロンに潜入、とある騎士の従者としてエリックの側にいた。
イラストと内容とのギャップが大きい本シリーズ、素敵とは対極……?イラストの他にタイトルにもギャップが。コンスタンタン(ギー・ギーの息子、乳児)とそれになつく大人たちとかはかわいいなーとは思うんですけど、それってごくごく一部分。女の人って怖いなーとかいろいろ。多少無理のあるような気がしなくないのですが(いや、普通は気付くやろエリックとか)、この無理のある展開がコバルトっぽくていいかもしれません。ラストのシーンとかは燃える展開でああいうの結構好きなんですよ。
実は、ミミの性格が前回から改善されてなかったらこれで読むのやめようと思ってたんですけど、次も読むぞー。次からどうなるか予想もつきませんし。エリックの基本ポリシーは目指せ王子廃業だと思っていますので、そのように行動していくんでしょうと予想していますが。
銃姫3 Two and is One
「銃姫」の行方を追うセドリック一行の前に立ちふさがるティモシーと名乗る少年。等級をめぐる決闘がいきなり始まり、否応なしに戦うことになるセドリック。しかし、決闘の最中に「漂白の魔女」と呼ばれる雪雲がセドリックたちに近づいてきた。
3巻目ということで世界の謎もだいぶ明かされてきたような感じの銃姫。今回は表紙にも来ているメイド服のお嬢さん方が出張ってますので、アンの出番が少ないかな?いやしかし、やっぱり最後に大変なことになって、以下続刊でああどうなるんでしょうと続きが待ち遠しいわけです。一筋縄でいかない人が多くて先が見えないんですが、こういう中で真っ直ぐなセドリック(とアンもかな?)は心の清涼剤でございました。いろんな意味で危機に立たされたセドリック、そしてアンブローシア。二人とも無事だといいのですが。
そして”ジャンヌ=コッダ”さんが登場されました。遠征王の4冊目(遠征王と尾のない蠍)で名前が出てきたあの人が。やっぱり、パルメニア関係のお話のずーーーっと前が舞台の話のようですね。ということは、銃姫によって世界が壊滅してリスタートってなラストになるとか……?。
シインの毒
荻野目悠樹/亀井高秀(イラスト)集英社スーパーファンタジー文庫【bk1・amazon】
ヴェンネル帝国の版図拡大を担う天才将軍シインは、戦いを嫌う心優しい青年だった。しかし、帝国の宗主はシインの大切な人−アヴィカ−を毒薬漬けにし、解毒剤を盾にシインを戦場に立たせていた。しかし、アヴィカは決断する。これ以上シインの重荷にならないでいられる方法を……。
あきさんのサイトで荻野目さんの名前を見て以来どーしても読みたくなって図書館に駆け込んだ一冊です(今はなきスーパーファンタジー文庫ですから)。
シインは隙あれば隠棲しようとするネガティブオーラ全開の人なので、彼よりも目立っていたのはシインに関わってくる女性陣ですね。女の人って強いなと思えるような一冊でした。強い以上に怖いと思う事も多かったんですが(いやもういろんな意味で)。シインもシインで最後はすごい一撃を残してくれます。後味悪っ!の一言に尽きました。この後味の悪さが癖になるというか一筋縄でいかなくて素敵だな、と思えるんですが。
やっぱりいいですね。初めて読んだときとはまた違った感動を味わえたような気がします。やっぱり名作は何回読んでも名作ですね。ハッピーエンドといえばハッピーエンドなんですが、暗いのダメという人は読まない方が身のためかと思われます。でもラブは詰まってますのでそっち方面は大丈夫です。コバルトでも書いていた人ですからね。
というわけで、しばらくプチ荻野目さん祭を一人で開催したいと思います。ただし、SFとかにはあんまり食指が動かないので初期の作品数冊限定。
The Beans vol.4
角川ビーンズ文庫
空き時間にぼつぼつと読んでます。とりあえず、読んだ分だけちょこっと感想。きっとすごく短いです。
3月に出る本とか書いてあるんですけど、今年度と去年度の新人さん全員(5人?)で固めてる模様。なんだかすごいなー。
迷ううちに花は 喬林知/松本テマリ
(イラスト)
上官の異動に異を唱えるため血盟城に署名集めに来たヨザックはとんでもない人と出会ってしまうという話。
毒女さんが大活躍なので非常に満足でございました。
彩雲国物語 王都上陸!龍蓮台風 雪乃紗衣/由羅カイリ
(イラスト)
タイトルままの話。
前の話(
想いは遙かなる茶都へ)で一人いいところをかっさらっていった龍蓮がまたしても大暴れ。藍家の兄弟事情などが見え隠れ。この前の話のカラクリなんかも分かったりするんですが、やっぱり龍蓮は最強。それにしも、なんで邵可さんってあんなにモテモテなんでしょうか。
スカーレット・クロス 月明かりの守護 瑞山いつき/橘水樹・櫻林子
(イラスト)
リチャード神父に弟子入りしたばかりのギブの話。
どうやってそれぞれのこだわりを持った女好きな弟子たちを養成していくかが明かされる話。……、いや、ちょっと違う。ギブが小さいときから不良だった話。リチャード神父の門下生ってみんなアレなんですけど、憎めなくておもしろくて、結構好きです。
セカンドシーズンもはじまるらしいので楽しみ。
真田。 高殿円/きなこひろ
(イラスト)
戦国時代の猿飛佐助の中にタイムスリップしてしまった高校生の「すばる」は真田十勇士のおさんどんとして大活躍していたという話。
おもしろいんですけど、細切れに読むんじゃなくてまとめて読みたい(笑)。才蔵さんと佐助さんは思ったより固い絆で結ばれている模様。やはりラブですなー。(正真正銘の)姐御キャラいないんですかー?まだ出てきていない人たちに期待。いや、でも紅一点で才蔵がいるから無理か(ガクッ)
アダルシャンの花嫁 花の約束 雨川恵/桃季さえ
(イラスト)
アダルシャンに嫁ぐ前のユスティニアと近衛のナナの話。
いい話でした。これを読んで本編読み直すとまたなにかぐぐっとくるものがありそう。
キターブ・アルサール 御領主様の日常 朝香祥/鈴木理華
(イラスト)
ディラムの図書館に配属された司書(女性)と本好き領主の話。
まわりのほのかな期待(?)とは真っ向から(無意識に)立ち向かうティルフがやっぱりおもしろい。サイード・ティルフそしてサルジェの兄妹トリオ好きだなー。
キーリIII 惑星へ往く囚人たち
とある街にしばらくの間定住生活をすることになったキーリたち。アルバイトをしつつそれなりに順応しているキーリに対し、ハーヴェイはなにやらこそこそと旧知の人物に会っているらしく……。
キーリ第三巻。新キャラ(ベアトリクス)登場でちょっとドキドキです。あのようなきっぷしのいいお姉さんタイプ大好きなので。不死人は男しかいないと思っていたのでそれなりに驚きだったりするのですが(笑)。ベアトリクスってベッカにそっくりなんですよね?名前も関係ありそうといえばありそうだし。コレは絶対裏になんかあるなと勝手に邪推して次を楽しみにしたいと思います。
キーリとハーヴェイの方はそれなりに何かしらの進展がある模様。あの二人(と兵長)の間には家族とか恋人とかそういうのを乗り越えた何かしらの絆があると思うわけですよ。その絆が徐々に築かれていったり、築かれているの気付かなくて「なんじゃこの気持ちはー」と少し悩んでいたハーヴェイが良かったように思います。
風の王国 女王の谷
女王が治める国ゲルモロンに新しい王が即位することとなった。リジムの名代として即位式に出席することになった翠蘭だが、道中偶然であった時期女王・ラトナは命を狙われている上に「女王にはなりたくない」と主張しており……。
今回は吐蕃を離れて女王の谷・ゲルモロンが舞台。そして2巻では登場人物紹介にまで出てきているのに全く出番の無かった慧(翠蘭の幼なじみで、護衛として吐蕃に一緒にやってきた)が活躍しています(巻き込まれて悲惨な目に遭っているとも……)。最初と最後を除いて翠蘭とリジムは別行動なんですけどね、一緒のときは恐ろしくバカップルだったので不満はない!(笑・特に宝物庫の係官との会話には笑いました)。
今回の主軸はラトナで、ラトナが王位を継ぐの継がないのという事を通してそれぞれの決意というか信条が伝わってきました。特に慧は……、言葉少なながらの発言だったので重みがありました。
さて、この物語まだもうしばらく続くということで一体どこまで続くのかと期待半分、不安半分。史実を扱っているので忠実にいけば結末はアレなので個人的にはそういう辛い話は読みたくないなーとか思いつつ読みたいと思う気持ちも実はあり、しかしやはり辛い話なら史実を曲げてハッピーエンドでひとつよろしくとか思っていたりするので(意味不明)、とにかく楽しみですね。
キーリII 砂の上の白い航跡
キーリ、ハーヴェイ、そしてラジオの兵長は砂の海を越えるために砂の上を走る船に乗ることに。
キーリ第二巻。前と同じくのんびりまったりの不思議な空気が流れている中でハラハラドキドキといかんとも形容しがたい雰囲気が素敵です。今回も短編連載形式ですが、個人的に一番気に入ったのは巻頭カラーの手紙だったり。
ホラー系苦手なんで、目次の時点でちょっと腰が引けたのもあるんですが(4話あたり)。まだ許容範囲(笑)。そして、心休まらない旅と再確認(裏切りとかいろいろ)。そんな中でキーリが船の中で仲良くなった少年・ユリウスの好意は本物だと思うので、もし今後彼が登場することになっても(いや、無いような気がしますが)敵対するような関係にはなってほしくないな。
魔女の結婚 アヴァロンの陽はいつまでも
エレインを元の時代に送りかえしたマティアスは、エレインが巫女姫として生きている時代にたどり着く。そこでマティアスはイムリスが未来を変えようとエレインに接近するのをなんとか阻止しようとする。一方、元の時代に戻ったエレインは魔女狩りを止めようとフリードリヒの元に乗り込んで……。
魔女婚の最終巻(あとで短編集が出るかもしれないらしいですが)というわけで、大団円!という言葉がぴったりなフィナーレでした。感無量とはこのことですね。
マティアスが想像以上にエレインにぞっこんで(笑)、初期の彼からは信じられないようなセリフ(?)の数々に思わず「にやり」でした。あそこまで変わるとは、エレインはやっぱり最強ですね。最後にバードの正体は明らかになるし(思わずびっくりな素性)、フリードリヒはラストで(個人的に)好感度がアップしまくるし、そしておのおのそれぞれの道を進んでいったあのラストは感動ものでした。
タクティカル・ジャッジメント 逆転のトリック・スター!
陪審員制度が導入されている日本で、見事無罪を勝ち取り続けている弁護士・山鹿善行。彼の元に幼なじみである水澄雪奈からの助けを求める電話がかかってくる。どうやら雪奈は殺人事件の被疑者として警察に拘留されているらしく……。
えーと、なんといいましょうか。かなり熱い展開で面白かったです。読み始める前は「どろどろ陰謀うごめく法廷モノ」と思いこんでいたんですが、そっちの方向とはまた違った法廷モノでしたね。次から次に明らかになっていく事実、有利な立場から一転してピンチに陥るも思わぬ方法(というか犯則技)で切り抜けていく舌先三寸弁護士、読んでいてはらはらドキドキでした。しかしですね、実際のところは、山鹿弁護士は好きになれなかったんですよねー、何でかは分かりませんが。他の登場人物たちにもさして魅力を感じませんでした。しかし、話自体は面白いと思いますんで次も読んでみたいと思います。
アダルシャンの花嫁
他国から「黒い悪魔」と恐れられる王弟アレクシード(20歳)に率いられたアダルシャン軍は大陸最強といわれるカストリア帝国軍を打ち負かした。アダルシャン側は講和条件としてカストリアの皇女の降嫁を願う。そして、アレクシードの元に嫁ぐためにやってきた皇女は10歳の第六皇女・ユスティニアで……。
ああ、お腹いっぱい(笑)。元敵国に嫁いできた皇女様と、幼い皇女にどう接するべきかちょっと悩むアレクシードがあまりにもツボすぎてお腹いっぱいですよ。なつく→離れる→またなつく、というこの最強コンボの過程をみられただけでも満足です。うん、やっぱりこういうのが読んでいて楽しいわけですよ〜。10歳相手じゃ犯罪?ノープロブレム。ここで光源氏計画の発令ですよ(意味不明)。
皇女様とアレクの信頼形成過程がメインなんですが、その裏で「兄弟モノ」としても楽しむことができるのではないかと。兄王のひねくれまくった性格がちょっと好きだったりします。陰謀関係に関しては、少しばかり甘い面もあったような気がしなくもないですが、(個人的には)メインディッシュでないんで別にOKですよ。
次の作品が大変楽しみな新人さんと思われます。まだいろいろネタは残ってますし(アレクのことを嫌いらしい王太后とか(角川サイトで確認)出番なしでしたからね)、続編もウェルカムです。