2005年1月の本の感想


タクティカル・ジャッジメント2 気まぐれなサスペクト!

師走トオル/緋呂河とも(イラスト)富士見ミステリー文庫【bk1amazon

中学生の由衣の姉・麻衣が勤め先の屋敷の宝石を盗んだという疑いをかけられ、警察に拘留されていた。彼女の罪を晴らすために弁護を引き受けた山鹿善行は軽く無罪を勝ち取った。しかし、この事件のお陰で後に起こる殺人事件の弁護を引き受けることになって……。

一巻と同じように爽快な山鹿氏の弁護はただただよく舌が回るものだと感心しながら読んでました。お話の都合上二回無罪を勝ち取るので、二回分の爽快感。あっと驚き度は前のようにはいかなかったんですが(犯人分かってるし)、どうやってそいつを引きずり出してくるのかという過程はおもしろかったです。九割方近くは法定内でのお話のはずなのに、そんなに地味に感じないのはやはり山鹿氏のキャラクターのお陰?
Jan/30/2005 ↑TOP
 『タクティカル・ジャッジメント 逆転のトリック・スター!


帝都・闇烏の事件簿 2

真瀬もと/夏乃あけみ(イラスト)新書館ウィングス文庫【bk1amazon

怪盗闇烏の次の標的は”十二階”に展示される首飾りだと主張するのはイギリス人の若い女医。藤木子爵の友人で、高久の兄・頼久をも知っているという彼女は、高久と同じ疑念―闇烏は頼久ではないか―を持っていた。

やっぱりおーもーしーろーい!
頼久が”肉球”と一緒に登場しましたが、やっぱりとらえどころのない人でした。頼久の謎やら藤木子爵の目的など分からないことがてんこ盛りで、とにかく早く謎が解けて欲しいという気持ちでいっぱいです。どうやら次の盗みが最後らしいので次巻で終わりなのではないかな?と思っているのですが、果たしてどんな謎が隠されているのでしょうか。危ういバランスの上に成り立っている(いた?)それぞれの関係にどう決着がつくのか楽しみです。
そして今回も桜子と北沢さん。二人ともいいですね。桜子はもう探偵さんと子に嫁入り決定でしょ(願望)。かわいいっ!北沢さんは本当に謎。彼の謎は本編中では明かされないような気がするんですが気になります。英語以外にもフランス語とドイツ語もできると思うのですが……。
Jan/23/2005 ↑TOP
 『帝都・闇烏の事件簿 1


帝都・闇烏の事件簿 1

真瀬もと/夏乃あけみ(イラスト)新書館ウィングス文庫【bk1amazon

柚谷高久は帝都を揺るがす怪盗闇烏に不本意ながら一方的にライバル扱いされる私立探偵。今日も今日とて高久のもとに闇烏からの予告状が届いた。兄の親友で幼なじみの藤木子爵にあきれながらも闇烏との対決を余儀なくされる高久は……。

おーもーしーろーい!
闇烏の目的(正体は裏表紙のあらすじからしてばらしているのでこの際どうでもいい)や、高久の兄との関係がもう謎で謎で。いつ明かされるのかとドキドキしながら読んでいましたが以下続刊です。続きも早く読まなくては。各所に散らばるちょっとどきっとするパズルのピースが気になって仕方ありません。
そして、ストーリーもさることながら登場人物たちも素敵。一番気に入ったのはやっぱり元気な桜子ちゃんかな。ラストの”アレ”はきっと藤木子爵のことだからアレなんだろうなーとか(指示語ばかりですいません)思いながら読んでいるんですが、桜子の母親もキーパーソンになってそうな予感。あとはもちろん有能な探偵助手の北沢さんも。絶対彼って探偵マニアですよね。高久の兄の登場もちょっと楽しみだったり。熱血高久をかるく鼻であしらっていそうなかなりとらえどころのない人ですが、”肉球”と一緒に漫才みたいなやりとりしてそうで楽しみです。
Jan/23/2005 ↑TOP
 『薔薇の密書 アヴァンチュール1606


天使たちの華劇 暁の天使たち 外伝2

茅田砂胡/鈴木理華(イラスト)C-Novels Fantasia【bk1amazon

レポートで、学園祭で目指せ一般人の話の中・短篇4話

なんで表紙が女装?あれだけ女の格好嫌がってたくせに何かふに落ちんなーと思いつつも読んだ外伝。今回は前回と違って完璧に外伝でした。うん、やっぱり外伝はこうでなくては。
女装容認理由、やっぱり考え方が超人過ぎてイマヒトツ理解できず。でも、一般人目指している割には一般人からかけ離れている人たちの的はずれな会話とかは楽しかったしまあいいか。デル戦で「非常に短い命」だってアレの再登場や、いろんな名前を見たりしてもう一度デル戦読みたくなってきたな。でもって、使用上の注意に「デル戦とスカウィは読みましょう」とでも書いておく必要が切実にあると思いました。
しかし、デル戦にどっぷりつかっている人間にとって、リィに普通の兄妹がいてそれなりに兄妹してるというところには非常に違和感を感じてしまいますねー。もうあれは別人?
あまり期待しすぎずに割り切って読むと楽しいのでやっぱりすごい作家さんだな、と思いました。
Jan/20/2005 ↑TOP
 『舞闘会の華麗なる終演 暁の天使たち 外伝1


GOSICK IV―ゴシック・愚者を代弁せよ―

桜庭一樹/武田日向(イラスト)富士見ミステリー文庫【bk1amazon

ヴィクトリカが図書館で見つけた今は亡き錬金術師リヴァイアサンの挑戦状。あまりにも挑発的なその文面に闘志を燃やすヴィクトリカ。一方、一弥は立ち入り禁止の時計塔で変死体を見つけてしまう。時計塔にはリヴァイアサンの呪いがまだ残っているといわれているが……。

おもしろかったー。ヴィクトリカと一弥のつかず離れずの関係、そしてヴィクトリカとアブリルのガチンコ勝負、セシル先生のおとぼけ。全てがツボに来てしまってもう何がなんだか。リヴァイアサンの謎自体は私でも何となく分かってしまったんですが、いやもうそんなことはどうでもいいのです。とにかく一弥とヴィクトリカです。もしかしなくてもこれがいろんなサイトさんで言われている『LOVE寄せ』というやつなんですねっ!すばらしい。あとついでに見覚えのない美形のお兄さん、まさかあの人だったとはっ!盲点です。
ヴィクトリカの謎や、今後の展開を暗示するような不吉な出会いなどいろいろな事が一気に起こってこの先どうなるんだろうなー、と大変不安で楽しみです。あと、何のかんの言っても警部は警部なりにヴィクトリカを心配しているわけですよ。きっと何かあれば一弥と共同戦線を張るのではないかと(ある意味今も張ってるけど)期待してみます。

二人の出会いやなんやらが読めそうな短編も楽しみです。長編でも短編でもとにかく次も楽しみ!
Jan/19/2005 ↑TOP
 『GOSICK III―青い薔薇の下で―


玉響―たまゆら―

時海結以/増田恵(イラスト)富士見ミステリー文庫【bk1amazon

巫女のマユラは花摘みに出かけた野原で旅をするイメタテと名乗る青年に出会う。故郷を追われた一族のために旅を続けているというイメタテとの出会いが、マユラとマユラの村に大きな変化をもたらす。

あらすじやっぱり半分くらい適当。
業多姫の時海さんの新作。業多姫から余分なミステリー分を取っ払って舞台を古代に持ってきたこの作品、大変ツボでございました。
まずはタイトル。時海氏の作品はタイトルが素敵ですね。なんとなく惹きつけられるものがあるような気がします。そして内容としては今のところ糖度は業多姫に及ばないんですがもう十分です。業多姫より読みやすいような気がしましたし、不思議な雰囲気に包まれている作品です。そして何よりすれ違いっぷりがすごい。いろんな人のすれ違いが積もりに積もって最後は……という展開なんですが、とにかくどこまで事態が悪化するんだろうとはらはらドキドキで読むことができました。
女神の誓約によって直に合うことができないマユラとイメタテというところもおもしろいです。なにやらきな臭い方もまだまだご健在みたいですのでこれからも楽しみです。完全な敵ではなさそうですが……。
物語の舞台から見ると『空色勾玉』とかが好きならお薦めの作品です。
Jan/10/2005 ↑TOP
 『業多姫 六之帖―夢見月


ゆらゆらと揺れる海の彼方

近藤信義/えびね(イラスト)電撃文庫【bk1amazon

戦の天才だが破天荒を絵に描いたような城代のジュラ。そして彼のよき理解者であり、兄でもあるローデウェイク辺境州の領主ラシード。ローデウェイクを守るために奔走するふたりだが、帝国の圧倒的な戦力を前に苦戦する。

あらすじ半分くらい適当。
一言で言うと面白かったです。かなり読みにくかったんですが……。まだデビュー1冊目ということでこなれていないというか、文章がちょっと私には合わなかったかなーというかで。しかし十分楽しめましたし、何より熱かったです。海獣と宇宙みたいな場所で戦うとか、アイディアすごく楽しいし。しかし、いくら破天荒いうても破天荒すぎるやろーとか、できすぎやーとか思うところはあるんですがそこらへんも熱くてよかったのではないでしょうか?
あとはヒロインですね。いろいろと謎がありそうなんですが、とりあえずもうちょっと見せ場があるともっと嬉しいかも知れません。
Jan/06/2005 ↑TOP
 


 やがてマのつく歌になる!

喬林知/松本テマリ(イラスト)角川ビーンズ文庫【bk1amazon

小シマロン王サラレギーとともに聖砂国に向かうことになったユーリは、貨物船に乗っていた奴隷たちを助けようと一世一代の大芝居を打った。

勝利兄大活躍、な話でした。勝利兄はアッチの世界に無事渡ることができるのか、はたまたユーリを呼び戻そうとして他の人を呼んでしまうのか(なわけない)、本人いやがってるけどゲイシャガールとはかなりいいコンビだぞと妙な期待に胸ふくらましながら読んでいました。あと、グレタがだんだん毒女化してきておもしろいんだかせつないんだか微妙な気分。
サラレギーと聖砂国の関係や彼の目的、でもってなぜにユーリにえらく友好的なのかも判明しました。しかし、それ以上に”箱”関係に対する謎は深まるばかり。しかも『お嬢様』がダイレクトに関わってきてるし。私はかなり序盤から謎について理解しようとすることは放棄しているので素直に物語中で明かされるのを待っているんですが、いつ解明するのかな?
Jan/04/2005 ↑TOP
 『これがマのつく第一歩!


汝、暁に臨む者たちよ

片山奈保子/小田切ほたる(イラスト)集英社コバルト文庫【bk1amazon

伯爵令嬢が娼館に身を落としたという噂を聞きつけたシャナは、その噂の真相を探るべくその娼館に乗り込んだ。そこにいたのは両親に溺愛される妹との間に揺れる少女エリシアだった。シャナはエリシアを城に連れ帰り面倒を見ることにする。

話進んでなーい!
今のところこの物語に期待しているのは思わず顔を背けたくなるほどの主役カップルのラブっぷりなわけですが、今回は話は進んでないわラブはほとんどないわで特記するべき事がありません。なんか全体的に甘いよなー(直前に読んでいた本が↓なだけに)とか、この国に爵位あったんかいな(読み込んでいないので覚えてません)とか、あれで16歳は幼すぎるやろうとか、王様がいい人すぎるよなー(この前のダークモードはどこにいった)とかいろいろ思うところはあるわけですが。
とにかく話進めてください。ここまで来たらラストを見届けなければ気が済みません。こじれまくっている関係だけにどう決着つけるのかは楽しみです。
Jan/02/2005 ↑TOP
 『汝、宿命を見つめる者たちよ


 破剣戦鬼ジェネウ 裏切りの変 / 恩讐の変

荻野目悠樹/ほたか乱(イラスト)集英社コバルト文庫【bk1・amazon

冬の支配する国・ヴァーサ帝国の貴族の子弟ジェネウは騎馬民族キャムソールの血を引くが病弱な少年だった。彼の心の支えは、幼なじみのミリッカとファーゲンフォルム家のウエルネルとエスキル兄弟。ファーゲンフォルム兄弟はクーデターを起こそうとしており、キャムソールの軍事力を味方につけようとしていた。

一人荻野目さん祭の第2回目は「完結してますよ」と教えていただいたジェネウ。
暗い・寒い・容赦ないの鬼の三拍子が見事に揃っています。ここまで容赦ないとあっぱれと言うかいっそすがすがしいというか。普段あんまりキツめの物語は読まないので新鮮でした。この国はどこまでいってしまうんだろう、立ち直ることはできるんだろうかと余計な心配をしてしまうような展開でしたが、まー、最後は(あの状況の中では)ハッピーエンド……?内容は暗いんですが、読み始めると最後まで2冊まとめて一気に読んでしまうのでその点では魅力のある物語と思います。読んだ後妙な寂寥感に取り付かれてしまいそうになりますが。ははは。
Dec/28/2004 ↑TOP