2006年8月の本の感想



アリソンII 真昼の夜の夢

時雨沢恵一/黒星紅白(イラスト)電撃文庫bk1amazon

ヴィルのイクス王国への冬期研修旅行の話を知ったアリソンは、ヴィルを旅行に参加させ旅先で一緒に過ごすことに成功する。イクス王国での東西軍の合同演習に参加していた英雄さんことベネディクトと再会を果たした二人だが、その後立ち寄った妙な村で眠り薬を飲まされて……

アリソンの2冊目。今回も波乱と謎に満ちた冒険がとっても楽しかったです。アリソンとヴィルの掛け合いもいいのですが、それ以上に英雄さんと謎の女性・フィーがっ(ツボにはまった)。たどたどしいロクシェ語でも絶好調に口説く英雄さんと、つれないフィーが楽しかったです。
アリソンとヴィルの飛行機からのアレや妙にかっこよすぎる英雄さんなど、クライマックス部分は手に汗握って大変盛り上がりました。物語のカラクリ自体は今回も前回と同様もの悲しいものがありましたが、でもホッとできるラストで読めて幸せだなーと思えました。続きも楽しみ。
Aug/24/2006 ↑TOP
 『アリソン


アリソン

時雨沢恵一/黒星紅白(イラスト)電撃文庫bk1amazon

巨大な大陸の中で東西の陣営に分かれて長い間戦争を繰り広げている世界、夏休み中の東側の学生ヴィルの元に幼なじみの軍人アリソンが訪ねてくる。街外れで不思議な老人に出会い、「戦争を終わらすことのできる価値のあるお宝」の話を聞いた二人だが、その老人が何者かに目の前で攫われてしまう。

オススメ本教えて下さいで教えて頂いたアリソン第1巻。いやはや、非っ常〜に私好みの少年少女の冒険活劇モノでした。ラピュタ的といいますかなんというか。
とにかくいけいけゴーゴの体育会系のアリソンとアリソンに引っ張られる頭脳派のヴィル。この幼なじみの二人の関係がとってもツボでございました。冒険サイドでもワクワクドキドキで手に汗握って楽しかったです。メインの二人以外にも、妙に男前な西側の少尉さんや、名前も出てこないけど妙にいい味を出しているヴィルの友人が素敵でした。
しんみりしてしまう場面も多々ありますが、基本的にはハッピーエンド系のお話です。いいもの読めて大満足。今更ながら私も未読の方にはオススメしたいと思います。
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GOSICKs II―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―

桜庭一樹/武田日向(イラスト)富士見ミステリー文庫bk1amazon

長い夏休みを共にマルグリット学園で過ごす一弥ヴィクトリカ。いつもの通り退屈を持てあますヴィクトリカは一弥にお菓子と事件を所望する。

短編集ならではのお楽しみ満載の6話収録。ドリル警部のドリル二股分離の謎や(これさえなければこの話も切ないピュアラブでしんみりできるんですが)九城家の人々など楽しめました。個人的にお気に入りなのは、瑠璃姉さんのお話(カイザー髭vsうねる黒髪)と寮母さんのお話かなー。全般的に女性が最強のお話が多くて、なんだか爽快でした。
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蒼狼の風 草嵐の章/天翔の章

香村日南/田村由美(イラスト)小学館パレット文庫bk1amazon

草原の民・匈奴に五人もの単于が並び立ち、勝利を収めたのは漢の援助を受けていた呼韓邪単于。そんな呼韓邪単于の元で天神の御使いが見える巫女姫として阿紗那は匈奴の統一と平和を望んでいた。呼韓邪の息子・迦蓮都特は阿紗那に婚約者として密かに想いを寄ていたが、一言がなかなか言い出せずにいた。
ある日、呼韓邪単于の兄・呼屠吾斯の息子・波留且テイが呼韓邪の元にやってくる。彼は巫女姫にしか見えないはずの天神の御使いが見え、阿紗那と共に草原を平和にするという誓いをかわすが……。

いろいろな方の感想を拝見し、コレはきっとツボだ……と思ってワクワクしながら読みましたが、案の定私のツボにスマッシュヒット。すばらしく私好みの少女小説的歴史ラブファンタジーでございました。スタートダッシュから遅れまくっている迦蓮都特が個人的にイチオシなのですが(苦労性の長兄タイプに弱い)、[新参者→←ヒロイン←ヒロインの婚約者]というこの三角関係がどうなっていくのかと無駄にオトメゴコロが騒ぎました。
読んでいるときはもちろん匈奴寄りの立場なので、漢いらん、あー、もういらんことするなと漢に憎しみを込めながら読んでしまいましたが、もうちょっとボリュームがあって漢側の描写があればそれも変わっていたでしょうね。絶体絶命の危機に陥り、最後の最後まで本当に大丈夫なのだろうかと手に汗握りながら読んでいましたが、あのラストで救われた、んでしょうかね?決して完全なハッピーエンドとはいえないと思いますが、しかし、希望に溢れたあのラストは爽快でした。
いいもの読みました。
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星宿姫伝 しろがねの覚醒

菅沼理恵/瀬田ひなこ(イラスト)角川ビーンズ文庫bk1amazon

祥琳が偽王として告発され、斎宮である白雪の立場も危うくなる。なぜか城を訪れていた白雪の祖母・明星とともにかろうじて脱出に成功した一行だが、城内では新たな斎宮を迎える動きもあり……。

おばあちゃん最強伝説でした。普通の人じゃない人ばかり出てくるので、もうどれだけ長生きだろうと性別を超越してようと気にならないです。そして、ついに四兄弟の父親が全員違うことがすぱっと明かされましたが、なんかそこら辺よりもクールな千白の方が衝撃だったな……。切ない。
王様が(こんなに)簡単に偽王と認められた上に、次の王様いこかーと特に大きな抵抗ないのかいな、他の重鎮っ!と思わず突っ込まずにはいられない展開にいろんな意味で唖然としてしまいました。……、でも、ま、ここら辺は楽しむポイントと違うからいいのか……。 後一冊だというのに、落下点が全く見えない物語になってきました。はたして、白雪の愛は憎しみに勝つことができるのか(←ポイントがずれてる)、最終巻よまんと分かりませんな……。
Aug/07/2006 ↑TOP
 『星宿姫伝 しろがねの鼓動


ガイユの書 薔薇の灰は闇に / 薔薇の灰は雪に

響野夏菜/凱王安也子(イラスト)集英社コバルト文庫bk1amazon

マイを追ってザイクルーヴにたどり着いたポーシアとルーだが、アーシアの奸計によりマイには会わずに<灰かぶり>狩りの手から逃れる道を選ぶ。ザイクルーヴ城にたどり着いた二人は、<薔薇の灰>の秘宝に関する覚え書きを見つけるが……

<薔薇の灰>シリーズ、最後の2巻をまとめ読み。真夏に読む真冬の話、臨場感からは遠く離れた読書になりました……。ただただもの悲しい展開の連続で、アーシアめっ!と握り拳片手に読んでおりましたが、展開が早かったですね。物語のカラクリはやっぱりそうか、という点と何ですとーという点とが混在していて、奥深かったです。
マイ派かルー派と言われればマイ派な私でしたが、そんな私でもこのヘタレめっと思わずにいられないマイのヘタレっぷりが少々切なかったです。ヘタレてばかりではなく、十分かっこよかったシーンもいくつもありましたが。
ラストは、うーん、どうなんでしょうね?ハッピーエンドとはとうてい言えない終わりですが、一番収まりのいい終わりなのでしょう。でも、いろいろ期待していたハッピーエンドスキーとしてはちょっと切ないのも事実。全体的には暗くてせつないものの、お気に入りの物語です。
Aug/05/2006 ↑TOP
 『ガイユの書 薔薇の灰に恋がれ


吠えよ、我が半身たる獣 幻獣降臨譚

本宮ことは/池上紗京(イラスト)講談社X文庫WHbk1amazon

無事に幻獣との契約を果たしたアリアだが、、アランダム騎士団の姫巫女という大層な役目まで背負うことになったアリア。姫巫女になるかどうかを判断するために、聖従者とともにアランダム騎士団の本拠地に向かうことになったアリアだが、様々な思惑に巻き込まれそうになり……

新人さんの二巻目が無事発売。前回はノンストップでずどんと落として次どうなるの?という展開でしたが、今回は比較的おとなしめの話運びだったかと。またしても新出のいい男満載でしたが(出過ぎて区別がつかない)、個人的には初出キャラの中では俺様成獣の光焔が一番好きだなー。美形がわんさかいる理由が説明されておりましたが、個人的にはちょっと納得いかんような気が……。
今回も前回同様アリアの前向きさと頑張っているところは好印象。懸念の「女性陣欠乏」は、かっこええ姐さんでかなり満たされ、でもって次でもかなり期待できる模様(女子校的展開を期待)。アリア争奪戦は、本命ライル、対抗ディクス、ダークホース・クルサードとか勝手に予想してますがどうでなるんしょう?それにしてもクルサードは21歳でおっさん扱いって……。年齢に対する感覚が違うのは当たり前ですが、それでも21歳……。彼はどっかのエエとこの人で戦いとか政権抗争に疲れたとか愛する人を失って都を去ったとか跡目争いを自分が去ることで収めたとかの類(←馬鹿一展開をとりあえず並べる)と思っていましたが、どうやら確定みたいですね。
Aug/03/2006 ↑TOP
 『聞け、我が呼ばいし声 幻獣降臨譚