2006年2月の本の感想



ガイユの書 薔薇の灰に恋がれ

響野夏菜/凱王安也子(イラスト)集英社コバルト文庫bk1amazon

行方不明になった婚約者・ナーシアを捜すマイとその同行人ユサーザは、手がかりを求めて彼女にそっくりな<不死者>の少女ポーシアを追う。途中、「不死の薬」の噂が飛び交うフアルでおばのシオニーと再会するマイであったが……。

まだまだ謎に包まれている物語ですが、いろいろなことがたくさん明かされていきました。ポーシア、ナーシアとそっくりという<魔術師>のアーシアの登場が比較的早いのに驚き。普通に悪女っぽくて、期待通り……。いやいや、でもきっとこれから二転三転するでしょう。
前半のマイとユサーザの物語では、不死の薬に踊らされる人々と、その悲惨な顛末が語られています。<不死者>がどのように人々に忌み嫌われる存在となるかという過程が突きつけられ、とてもやるせない気分。
後半のポーシアとルーの物語ではルーの騎士っぷりが素敵でしたねぇ(←着目ポイントがずれとるがな)
自分の存在に疑問を持ったポーシアが、ザイェンでマイと再会できるかもしれない続きが楽しみです。
Feb/20/2006 ↑TOP
 『ガイユの書 薔薇の灰に祈りを


沙漠の王 ―金の髪のフェンリル―

榎田尤利/北畠あけ乃(イラスト)講談社X文庫WHbk1amazon

『金の狼』として革命の希望の星としての期待を一身に受け始めているフェンリル。沙漠を統べるバウダ族の助力を請うために、沙漠に向かったフェンリルは、バウダの白の賢者タウバの元で力の制御を学ぶことになる。

サラ(とフェンリル)サイドのお話は一旦お休み、『金の狼』としての道を歩み始めた十代のフェンリルの物語。くるくるくるくる悩むフェンリルと、ずけずけとものを言うフェンリルを導く兄弟子・タウバの組み合わせが非常によかったです。自分を見つめ直し、強くなったフェンリルはカッコイイですなぁ。そして、記憶を失う前のサラちゃんの登場。うわ、めちゃくちゃかわいい〜。しかもワイルドだ。このサラならダンスをするのもよく分かります。
Dエリアの女性や子供をさらっていくハンター達の謎も明かされ、物語は更に深みを増してきました。ナチュラルにすっごく悪役のユージン・キーツに思わずあっぱれ。この人は最後の最後までこの調子でしょうねぇ……。
Feb/14/2006 ↑TOP
 『おまえが世界を変えたいならば ―神話の子供たち―


おまえが世界を変えたいならば ―神話の子供たち―

榎田尤利/北畠あけ乃(イラスト)講談社X文庫WHbk1amazon

サラとエリアスはサブシティ・ヴェガスでフェンリルと接触するために、フェンリルの戦友であるキナの率いるレジスタンスの隠れ家に身を寄せることとなる。しかし、レジスタンスの仲間割れに巻き込まれ、エリアスと離ればなれになってしまったサラは……

今回もおもしろかったです。初登場時に比べて成長著しいサラがかっこよくてですねぇ。エリアスに「私に守られるのは、いや?」というあの一連のシーン……、いや、もうすばらしいっ!他にも思わずにんまりしてしまうシーンも山盛りで、少女小説的にも十分に楽しめましたです。そして今回から仲間に加わったぽい探し屋のアショクの果てしなく前向きなあの性格もいいなぁ。今までの登場人物にはなかったいい味を出しています。
しばらくは前に出てこなかったクローン問題もクローズアップされ、物語もだんだん動き始めたところでしょうか。あのラストから続くお話がすっごく楽しみなのですが、その前のフェンリルの物語も楽しみ〜。
今更ながらですが、かなりおすすめのシリーズです。
Feb/14/2006 ↑TOP
 『片翼で飛ぶ鳥 ―神話の子供たち―


私だけが、ここにいる。

倉本由布/真時美砂(イラスト)集英社コバルト文庫bk1amazon

小説家になりたいという夢を抱く高校生の莉子はサイトに自作小説を掲載していた。そこに「ヒナタ」と名乗る人物からの書き込みがあり、莉子はヒナタとのやりとりを楽しみにしていた。しかし、ある日「ケイスケ」と名乗る人物から悪意のある書き込みをされ……

莉子とヒナタ、ケイスケの3人の少しミステリアスな関係に、莉子と母親、莉子と親友のニーナなどの莉子を巡る様々な人間関係を軸に展開される恋愛モノ。中でも莉子と母親のやりとりは好きですねぇ。自分の考えにきちんと軸がある莉子はとてもかっこよくて好感読了後の余韻がとてもさわやかな作品でした。
なお、巻頭の登場人物紹介ページは見なかったことにしておくといいかもしれません。
Jan/末/2006 ↑TOP
 

カミングアウト!

高殿円/villagebooks edgebk1amazon

複数の携帯電話で複数の人格を演じ分ける女子高生、ロリィタ趣味を隠し続ける崖っぷちのOL、子育てを終え存在意義を見失いかけている主婦、墓を買おうとする結婚できなかったサラリーマン、退職間際の夫に復讐を誓う妻、そんな秘密を抱える五人が何かを吹っ切ったときに……。

高殿さんの新作は、現代を舞台にした悩める現代人が最後にカミングアウトしてすっきりするお話でした。各章毎の主人公が最後にカミングアウト!するといった流れなんですけど、読んでいるこっちもすかっとできてとっても満足です。一章目では若干乗り切れないものを感じましたが、二章目以降から物語に引き込まれていったといいますか。
墓買いサラリーマンもよかったんですが、やっぱり個人的に一番お気に入りなのはOLさんでしょうか。時点が熟年離婚を目論むバイタリティに溢れるおばさま、かな〜。高殿さんはかわいいものに情熱を燃やす女性に対する熱意が並々ならぬものがあると感じるのですが、私の思い過ごしではないはずです。
もやもやっとした気分を晴らしたいときにはお薦めの作品かも。
Feb/12/2006 ↑TOP
 『銃姫6 The Lady Canary


片翼で飛ぶ鳥 ―神話の子供たち―

榎田尤利/北畠あけ乃(イラスト)講談社X文庫WHbk1amazon

草原でエリアスたちとはぐれてしまったサラは、草原の民・ラコタ一族に助けられる。サラの命の恩人・ラコタの戦士ホークアイやその妹ティティと触れあうことで少しずつ心を開くサラであったが、ラコタの前にもシティのハンター達の魔の手が迫っていた。

命からがらシティから逃げ出してきたサラ一行、ヘリのトラブルにより徒歩での移動を余儀なくされ……、という波瀾万丈の物語。ティティたちとの交流により徐々に人間的に成長していくサラの様子がよかったです。そして、モテ期に突入したサラ……。真っ直ぐなホークアイの好意に戸惑いつつも、どの道を選択しようか悩むサラもよかったですねぇ。そして、ラストでタイトルの意味が明かされたときは不覚にも思いっきり感動してしまったわけで(ええ話や)。前巻でもツボでしたが、この巻を読んでもっとツボにはまってしまいました。おもしろーい。

さて、話題は変わりますがサラ一行で一番オトコマエなのは間違いなくディンですね。エリアスももちろん(オトメゴコロを鷲掴みという点からいうと)オトコマエなのですが、ディンにはかなわないでしょう……。今後、ディンの活躍を期待しております。
Feb/11/2006 ↑TOP
 『隻腕のサスラ ―神話の子供たち―


桃源の薬 星の杖と暁の花

山本瑶/香坂ゆう(イラスト)集英社コバルト文庫bk1amazon

インシェンと凛花は白翼山で穏やかな毎日を送っていた。そんなある日、蠱毒に冒された蓮州の馬神・英招がインシェンに助けを求めてやってくる。英招の願いを聞き入れないインシェンの代わりに英招の最期を看取った凛花は、英招の最後の願いを叶えようとする。

前巻でとりあえず両思いになれたのはいいけれど、そうは簡単に事態は進みませんよ、というお話、かな?インシェンの血統や、彼の一族の跡継ぎ問題が今後深く関わってきそうな展開ですねぇ。本人は思いっきり嫌がっているみいだけど、周りが放っておかないという何とも最悪なパターンで。今回は凛花の親友ポジションの子も登場し、なにやら場が華やいできました。そして、シロっ!(白翼山で凛花たちと一緒に暮らしている天馬)うーん、こいつはいいヤツだ。
相も変わらずの凛花のひたむきな姿勢は好印象だし、いい具合に前進したり後退したりの二人の関係も結構好みなのですが、このシリーズは個人的になんとなーく物足りない感じがしてしまいます。次回は後宮が舞台と言うことですが、うーん、果たして。
Feb/07/2006 ↑TOP
 『桃源の薬


隻腕のサスラ ―神話の子供たち―

榎田尤利/北畠あけ乃(イラスト)講談社X文庫WHbk1amazon

シティ2のアカデミアに通うサラは11歳の時に遭った事故により、左腕とそれ以前の記憶を失っていた。感情を表さず人との関わり合い関わりを嫌う生活を送るサラは、いつしか幽霊と呼ばれるようになる。ある日、サラの前にエリアスと名乗る新任教授がやってくる。何かとサラにかまうエリアスは、授業で死の地域・Dエリアの双子の姉妹をアカデミアの学生に紹介する。

第1巻から約10年後の世界で、運命に飲み込まれる少女・サラが主人公の物語。前作ももちろんおもしろかったのですが、女の子が主役のこちらもとっても私好みで大変楽しませて頂きました(色眼鏡装着?)
愛犬と懇意にしているカウンセラー以外との接触を嫌い、ただ日々を「過ごす」だけの毎日を送っていたサラが、エリアスと不思議な双子ルアンとディンと出会うことにより強制的に世界が広げられていくという感じのこれまたはじまりの物語。最後の最後まで、どうなるんだろうとハラハラドキドキの展開でした。続きも楽しみです。現在のところの最新刊まで確保しているので、続きがすぐ読めるのが幸せ……。
Feb/10/2006 ↑TOP
 『神を喰らう狼


バルハールの姫君

雨川恵/桃季さえ(イラスト)角川ビーンズ文庫bk1amazon

グラーレン動乱から半年、王都を去ったアレクシードはユスティニアと共に港町バハールの離宮で静かな生活を送っていた。ある日、夏至の祭の市でユスティニアの危機を救った謎の剣士に出会うアレクシードであったが……

新章開始のアダルシャンシリーズ。しばらくはメインに来なかったアレクとユティのほのぼのラブに思わずにやり。やっぱりかわいいなぁ、いいなぁ、ユスティニア。やっぱり姫様最強。
片田舎に引っ込んだアレクとユティというわけで、小粒な事件に巻き込まれていますがどうやら裏にはなにやら大きな陰謀がありそうで。今度はユスティニアの故国・カストリア帝国側が裏で糸を引いている上に、最後は思いっきり不穏なラストということで続きも楽しみです。
Jan/05/2006 ↑TOP
 『エルヴァインの末裔


彩雲国物語 光降る碧の大地

雪乃紗衣/由羅カイリ(イラスト)角川ビーンズ文庫bk1amazon

茶州の疫病を鎮めるために、単身茶州に戻った秀麗は姿を姿を消した影月を救うために燕青らの助けを借り、邪仙教の本拠地に向かう。

影月編完結編。秀麗やお医者さん達が病に立ち向かう姿はよかったし、街のおかみさんたちが最強なのも気持ちよかったし、武力を使わずにことを治めようとする秀麗の心意気には惹かれたし、茶州まで秀麗を送り届けた楸瑛たちのやりとりにはぐっとくるものがあってとってもよかったし、ラストのシュウランちゃんの決意で秀麗の努力が報われてよかったねーとほんわかした気分になれました。だけど、だけど!

都合よすぎ。

あのラストはラストで結構好きなんですけどね……。でも、微妙に釈然としないのです。他にも影月が夢うつつの狭間で出会った人とか、なんかいろいろと、ははは、みたいな。”薔薇姫”関係の話が今後のメインになりそうなので、これは間違いなく私の期待とは正反対の方向に邁進していることは間違いないのですが、でも、悔しいことにおもしろいんですよねぇ。超常現象は少なめの方向でひとつよろしくという願いはむなしく霧散してしまいましたが、次からは秀麗も王都ということで、王様との絡みに期待しております。あと、バカ叔父が名乗りを上げられるまでは見届けなくては。(←注目ポイントがずれている)
Jan/03/2006 ↑TOP
 『彩雲国物語 心は藍よりも深く


銃姫6 The Lady Canary

高殿円/エナミカツミ(イラスト)MF文庫Jbk1amazon

アンブローシアの告白を聞いたセドリックは、アンブローシアと共に暁帝国に向かうことを決意する。しかし、姉・エルウィングの病気の治療のためにアンブローシアと別れ、”灰海”と呼ばれる砂漠にエルウィングと共に向かうことにしたセドリックは、そこで奇妙な青年・ミトを拾う。

銃姫最終章の開幕。セドリックの出生の秘密が分かってみたりパルメニアシリーズを読んでいると思わずむふふと思ってしまうようなあれやこれやが大変よかったです。
最初の段階でセドリックとアンは別行動、しかもその時の最後の一文がまだ鬼のような展開を予想させるような一文で、次からも気が抜けません。セドリックと親交を深めるミトとの顛末は、5巻を呼んでいるとバレバレな展開なのですがそれはそれでよっしゃきた、という感じのハラハラ感が伝わってきました。
そして、帝国側の”髑髏王の六つの目”のそろい踏みが楽しかったですねぇ。スラファト側に比べてなんておもしろい人たちなんだろう……。スラファトも”竜王の六竜将”と6対6なんで、サシで勝負とかあるかもしれない、楽しみだ。
Feb/01/2006 ↑TOP
 『銃姫5 Soloder's Sabbath