2005年10月の本の感想



アルスラーン戦記11 魔軍襲来

田中芳樹/丹野忍(イラスト)光文社カッパノベルズ【bk1amazon

エクバターナでは蛇王の手下がアルスラーンを狙い活動を開始した。また、デマヴァント山に閉じこめられたクバート率いるパルス軍は、脱出の機会をうかがっていた。そして、ミスル国で着々と足場を固めつつあるヒルメスはミスル国王に献上される孔雀姫・フィトナと出会い……。

エステル!エステルが出てきたっ!というわけで私としてはこれだけで十分な8年振り(らしい)アル戦の最新刊でした。いろんなところでいろいろ前進していたんですが、もうなんというかどうでもいいといかそんな感じで。十六翼将の最後の1人はエステルで(私の中で)勝手に確定。
今回、ようやく前王の遺児候補の3人娘が出揃いました。三者三様で特徴がはっきり出ていておもしろいです。外見で分けるとしたらアンドラゴラス型のレイラ、タハミーネ型のフィトナ、アンドラゴラス+タハミーネ型のパリザードといったところかな。性格は全く違いますが。
登場人物がようやく揃ってラストに向けて発進。まずは最終決戦第一弾のペシャワール攻防戦、きっと誰か死……いやだなぁ。でもこの調子で行くとあと10年近くは誰も死なない死ねないし、気をもむのは止めておきましょう。
Oct/31/2005 ↑TOP
 『アルスラーン戦記 8〜10


アルスラーン戦記 8〜10

田中芳樹/丹野忍(イラスト)光文社カッパノベルズ

ルシタニアからエクバターナを取り返したアルスラーンはパルスの国王として着実に国を立て直していた。しかし、アルスラーンが休む間もなくパルスを狙う国や人や蛇王の魔の手が忍び寄る。

あらすじかなり適当ですけどこんなかんじのアルスラーン戦記第2部。何年かぶりに出た新刊を読むために第2部を読み返したのですが……、やっぱりおもしろいー。誰が好きかといわれればかなり迷う所なんですが、今回はっきりしました。私はラジェンドラが好きだと(笑)。その昔読んだときはどちらかといわなくてもラジェンドラは好きじゃなかったんですが、この人、いいわー。一般人として住むならこの人の統治するシンドゥラは結構住みやすいと思うのです。
とラジェンドラ話で終わってしまうのもなんなんで第2部。先王の実子が誰なのか、そして結婚話から逃げまくっているアルスラーンの相手は誰なのかという今後の展開が非常に楽しみ(個人的に蛇話はおまけだ)。エステルの再登場を願って11巻を読んでみたいと思います。
Oct/23/2005 ↑TOP
 『アルスラーン戦記1・2 王都炎上・王子二人


裏庭で影がまどろむ昼下がり

縞田理理/門地かおり(イラスト)新書館ウィングス文庫【bk1amazon

組織の麻薬をくすねて追われていたハルは、≪水銀の秘密≫という神秘グッツショップに偶然逃げ込む。店のオーナー・ハーパーに助けられたのはいいものの、ハーパーはどこか奇妙な”いい人”だった。

最近個人的にとってもお気に入りの縞田さんの新作は、デビュー作でもあるロンドンの下町を舞台とした人間と妖精の交流を描いたほんわか物語でした。タイトルから感じるほんわかさそのままだったんですが、ハルが裏社会のボスに追われていたりするんで、1作目は若干グロが入っております……。
人間好きの妖精ハーパーとハルの信頼形成もいいんですが、誰がなんといおうとも3話目から登場するリズちゃんがかわいくてですね……。縞田さんの描く女の子っていいなぁ。ハーパーのかなりずれている思考回路もおもしろいですし、このままの雰囲気で続編があるのなら大歓迎です。
Oct/16/2005 ↑TOP
 『霧の日にはラノンが視える4


空ノ鐘の響く惑星で8

渡瀬草一郎/岩崎美奈子(イラスト)電撃文庫【bk1amazon

侵攻してきたタートムを迎え撃つために国境に向かったベルナフォン。士気もあがり善戦していたアルセイフ軍だが、シズヤ達の操るは玄鳥の介入に苦戦していた。

やっぱりおもしろいっ!手に汗握るどきどきの展開で本当におもしろかったです。
今回は対タートムということでフォルナム神殿組のフェリオは出番少ないかなーと思っていたんですが、きちんと活躍されておりました。ベルナフォンの戦いぶりはかっこよかったですし、新キャラのバロッサ将軍と娘もよかったですねぇ。いいですねぇ。あとはブラドーお兄ちゃんが実はかっこよかったのが大変よろしかったです。思わずくらっと来てしまいそうになりました(笑)。
今回はなぜかいろんなところでラブモードへの下準備が施されているような気がしたのですが、思い過ごしではないはず。そして[ウルクの回復が思ったよりも早くて、よかったー](ネタバレ)。フェリオの鈍感ぶりはもう、なんというか、犯罪の域に達しているような気がしてきましたよ(ため息)。リセリナもウルクも幸せなエンディングになるといいんだけどなぁ。
Oct/09/2005 ↑TOP
 『空ノ鐘の響く惑星で7


エルヴァインの末裔

雨川恵/桃季さえ(イラスト)角川ビーンズ文庫【bk1amazon

自分の出生の秘密を知り、ユーゼリクスへ反旗を翻すことを示唆されるアレクシード。兄王や都にのこしてきたユスティニアを思い苦悩するアレクだが、ブラウクレント軍をアダルシャン領内に導くという決断を下し……

グラーレン編の決着がつきましたのシリーズ4冊目。泥沼化でどうなるんだろうーという状況が打破されてよかったです。前にヘタレ認定を出してしまった兄王さんがちょこっと持ち直したようで。弟は弟で兄バカだし、兄は兄で弟バカだしもう勝手にしてくれという気分かもしれない……。いや、おもしろいんですよ?でも、兄弟のからみよりもユティとアレク、王様と王妃様のからみの方が数十倍おもしろいので続くのであれば是非とも成長したユティとアレクをメインでいってほしいなぁ。5・6年経てばなんの問題もなかろうて。兄弟モノもいいんですが、この兄弟はひたすらすれ違うばっかりなのでもどかしいを通り越してうっとお(以下略)。
Oct/06/2005 ↑TOP
 『グラーレンの逆臣


マスケティア・ルージュ 銀の聖騎士隊

志麻友紀/さいとうちほ(イラスト)角川ビーンズ文庫【bk1amazon

長年紛争が続く旧オルテス公国領サンテュギュールに出兵することになった王の銃士隊と王妃の銃士であるジュリア。サンテュギュールではジュリアの預かりしれないところで陰謀がうごめいていた。

サブタイトルにもなっている割にはかわいそうな役回りでしたの銀の聖騎士さん。今後はジュリアのライバルとして活躍することになる……んでしょうかね。
一方、オルテスの公女を巡るそれぞれの思惑が交錯して参りました。その天然さ(とユーグとか隊長の(本人の気付かぬ)フォロー)でなんとなくその陰謀をかわし続けているジュリアがある意味すごいと思いました。今後、オルテスの公女がどう物語に絡んでいくのか楽しみです。
Oct/04/2005 ↑TOP
 『マスケティア・ルージュ 白の王妃


彩雲国物語 心は藍よりも深く

雪乃紗衣/由羅カイリ(イラスト)角川ビーンズ文庫【bk1amazon

秀麗が留守の間に茶州で疫病がはやるという事件が勃発し、あらゆるコネを総動員して王都から救援部隊を送ろうと秀麗は奔走した。一方、茶州ではこの災厄は秀麗の官吏就任が原因だろうという噂が流布しており……

息もつかせぬスピーディーな展開でおもしろかったです。茶州サイドでは影月と香鈴がどうなるのか、王都サイドでは秀麗はどうやってみんなを説得するのだろうと。相も変わらず歯切れのいい秀麗の思いっきりのいいところはかっこよかったのですが、並み居る高官の前であの口調は無いだろうと思ってしまったりして……。王様の前だけなら別にいいんですけどねぇ。今回は王様の王様振りもかっこよかったし、紅家の当主とその養子もよかったですねぇ。続きが楽しみです。彩八仙関係はちいと楽しみなんですが、超常現象は少なめででよろしくお願いしたい次第です(←ひつこい)。
Oct/02/2005 ↑TOP
 『彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計


星宿姫伝 しろがねの継承

菅沼理恵/瀬田ヒナコ(イラスト)角川ビーンズ文庫【bk1amazon

斎宮として歴代の斎宮に認められた白雪だが、国の重鎮達の中には白雪を認めない者も多かった。礼儀作法を身につけるために身分を偽り”ひいな”として同年代の少女らとともに勉強の毎日を送る白雪だが、何者かに命を狙われて……。

……、読むのにすっごい疲れました。すごい設定の量……。割とおもしろいんだけどそれを上回るほどの新出の設定に追いつくのに精一杯だった節もあったりなかったり。いろいろとややこしそうな血縁関係が最終的にどうつながることになるのかが予想もつかない状況ですね。まだヒロインが「動かされている」感が強く感じてしまうので、そこら辺なんとか脱却してくれたらうれしいような気が。
今回は次男だったので次は三男でその次に四男かな〜。下二人はまだ影が薄いので、これからがんばってほしいです。
Sep/28/2005 ↑TOP
 『星宿姫伝 しろがねの誓約

銃姫5 Soloder's Sabbath

高殿円/エナミカツミ(イラスト)MF文庫Jbk1amazon

結婚相手を見つけるため、中立都市での非公式の決闘祭にでることになったアラベスカとそこで起こったどたばた話(【絢爛豪華武闘祭】)、ティモシーと父親のお話(【星の数は数えられない】)、セドリックとアンが旅先で出会ったちょっと不思議な盗賊カップルとの話(【ホーム スイートホーム】)の短・中編集。

一話目爆笑、二話目ちょとほろり、三話目笑いつつもえー(何となく銃姫ではこんな展開もあり得るよなーとは予想しつつも心の涙で前が見えない)といった感じの短・中編集でした。個人的にお気に入りは絢爛豪華武闘祭です。帝国にアラベスカ以外のまともな軍人はいないのかっ!と思わず突っ込んでしまいそうになりました。ギースさんも回を重ねるごとに愉快な人になってきていているような気がするのはわたしだけではないと思う。
次につながる伏線っぽいものもちらほらと散りばめられておりますし、本編の再開が楽しみです。
Sep/25/2005 ↑TOP
 『銃姫4 Nothing or All return


紅牙のルビーウルフ

淡路帆希/椎名優(イラスト)富士見ファンタジア文庫【bk1amazon

拾われ子として盗賊を父に、狼を母に育った少女ルビーウルフは、ある日、自分を迎えに来たという一団に仲間の盗賊と狼を惨殺されてしまう。復讐を誓うルビーウルフであったが、彼女の正体は行方不明になったという王女だと告げられる。この国の玉座に座れるものはもう彼女しか残っていないという。数少ない「協力者」であるジェイドとともになんとか逃げ出すことに成功したルビーウルフだが……。

王道、王道、ビバ王道な物語でした。
というわけで、あらすじからなんとなくおもしろそうだったので富士見F買ってみましたよー。わー、富士見F買うのめっちゃひさしぶり〜。
期待通りに話が進んでいくのが気持ちよかったです。いろいろとツッコミどころはあったんですが、「別にいっか〜、王道だし」という理由でスルー可能でした(王道に勝る武器はなし)。悪役も悪役なりにがんばっていましたけど、凄惨なことする割に詰めが甘いなーと思ってしまいましたがそれ以上に王道なので(以下略)。
ビーンズといわれたらそうかも、と思ってしまうような作風&雰囲気の話。しかしラブ度は少年系なのであんまり高くはなかったかも。ジェイドがんばれーといったところかな。確信犯的なルビーウルフにどう対抗していくんでしょうか(笑)。
しかし、どうしても「ルビーウルフ」という名前が最後までなじまなかった……。何でだ。そこだけが心残り。
Sep/23/2005 ↑TOP