2005年7月の本の感想


ハイブリット・ソウル そして、光の中を

松田朱夏/睦月そあ(イラスト)富士見ミステリー文庫【bk1amazon

表具師見習いの竜介は、師匠の娘・麻美の紹介で奇妙な掛け軸の謎解きを依頼される。依頼主は薫と若葉という旧家・鷹渡家の二人だが、この掛け軸の謎には村に住む怪しげなイギリス人・クリスも関わっているようで……。

表紙からさわやか〜な話だと思ってたんですがかなりどろどろ系でした。しかも超常現象付き。いい意味で裏切られたな、という感じ。ミステリー部分は掛け軸の謎やクリスの正体(明かされたか?微妙だ)などについてそれなりに楽しく追いかけることができましたが、旧家の闇部分についてははっきり言ってあんまり好みじゃなかったので(たいしたことないんだけど、さわやかな話が好みなので。でもたまには読みたくなるというようなどろどろさ)ちょっと乗り切れない面もあったかも。読んだあと、妙に切なくなってしまう物語でした。
Jul/27/2005 ↑TOP
 


流血女神伝 喪の女王1

須賀しのぶ/船戸明里(イラスト)集英社コバルト文庫【bk1amazon

崩壊したザカールからユリ・スカナに向かったカリエとエドは、イーダルのもとで心穏やかな日々を過ごす。しかし、ユリ・スカナもまた動乱の火種がくすぶり始めていた。

前巻の感想すっ飛ばしてこっちの感想書きますよ、と(笑)。前のと二冊まとめて読みました。
やっぱり好きだなー、このシリーズ。最終章の第一章ということで、今までにないくらいまったりとした幸せな空気が流れていたんですが、これからきっとすごいことになるんだろうと思うとちょっと切なかったり。シリーズ開始時からエド派なので、今回うれしかったー。カリエとエドの絆はもう恋人とか家族とかそういうものを超えているような気がします。
バルアンの方も彼らしく、王者の道を突っ走って行かれるみたいで。彼らしい選択だなーと思う反面、もうちょっと手加減してあげてーと切なくなってしまったりします。いろんな国の動向が気になる今後ですが、果たしてどうなることやら。
Jul/20/2005 ↑TOP
 『流血女神伝 暗き神の鎖(中編)


GOSICK s―ゴシックエス 春来たる死神―

桜庭一樹/武田日向(イラスト)富士見ミステリー文庫【bk1amazon

日本からの留学生としてソヴィールの聖マルグリット学園にやってきた九城一弥はクラスにとけ込むことができず、勉強だけに打ち込む日々を過ごしていた。そんなある日、謎の死体の第一発見者&殺人事件の被疑者となってしまう。途方に暮れた一弥は、図書館の屋上で不思議な少女と出会い……。

相変わらず後書きがさいこー。狛犬劇場(完結編)、おもしろかった……。いえ、本編ももちろんおもしろかったです。
ビクトリカと一弥、一弥とアブリル(びっくりなバックグラウンドかも)、セシル先生とビクトリカの出会いを描いた短編集。学園の中に存在するいろんな”怪談”に巻き込まれる一弥と、一弥の提供する”エサ”につられて問題を解決していくビクトリカのコンビネーションがいい感じでした。
これから読んでも大丈夫なはじまりの物語、次の短編は夏休みの二人ということで本編同様に楽しみです。
Jul/20/2005 ↑TOP
 『GOSICK IV―ゴシック・愚者を代弁せよ―


汝、女神に跪く者たちよ

片山奈保子/小田切ほたる(イラスト)集英社コバルト文庫【bk1amazon

国王を亡くしたルカルデーテ国の王妃と王子がカドリア国にやってきた。王妃はシャナの命を盾にイーグを国に連れて帰り、≪銀の王≫として即位することを迫る。

話が一気に進んだー(前巻との対比でひとつよろしく)
もう、最初の≪汝≫とは別物やんという感じのストーリー展開でアレなんですが、驚きの新展開でびっくりです。普通想像もつかんよ、これ……。離ればなれになってにもかかわらず不思議な力でピンチのときはいつでも駆けつけられるみたいなので、まー、なんというかラブ方面は問題ないとは思うんですが、このシリーズはいったいどういった落としどころで終わるのかが本気で分かりません。どうなるんでしょうかね。
あ、今回の陛下は黒陛下とはまではいかなくても灰色くらいでした。もっと陛下にはがんばっていただきたく……。
Jul/10/2005 ↑TOP
 『汝、暁に臨む者たちよ


空ノ鐘の響く惑星で 7

渡瀬草一郎/岩崎美奈子(イラスト)電撃文庫【bk1amazon

御柱から突如現れたラトロアの”屍の兵”に苦戦するフェリオ達はカシナートと協力し、事態を乗り切ろうとする。一方イリスたち来訪者一行と対峙することとなったリセリナは絶体絶命の危機に陥り……。

くー、おもしろいですね!手に汗握る展開でもうはらはらどきどきの連続。もう何を書いてもネタバレ状態の感想しかないんですが、とにかくおもしろかったです。でも、ウルクが、ウルクが〜!(と前にも書いたような覚えが……)
さて、裏表紙に吹いたんですが本編を読んだら余計に笑えますね。いやしかし、今回パンプキン氏にどうしようもない愛を感じてしまいました。パンプキンとある意味分かり合ったライナスティ、二人の会話がおもしろかったなぁ。揺れるウルクとリセリナの描写もよかったなぁ。男性陣はウィスタルは渋いかっこよさを遺憾なく発揮しているし、今回フェリオ側にたったカシナートさんもかっこいいし(味方だと頼りになるなぁ)、エンジュはエンジュでがんばったし、教授渋いし、もうすべてにおいて大満足でした。これからどうなるか予想もつかない展開なんですが、続きが楽しみです。
Jul/08/2005 ↑TOP
 『空ノ鐘の響く惑星で 6


スカーレット・クロス 月窟の黙示録

瑞山いつき/橘水樹・桜林子(イラスト)角川ビーンズ文庫【bk1amazon

≪聖櫃≫を封じたウォール大森林にの奥に向かう許可を得るために、ギブ神父はリチャード司祭とともに教皇に面会した。しかし、聖なる都市エクレーシアの中にも≪イプリス≫の契約者達が入り込み、ギブとツキシロの力を試そうとする。

おもしろいですねー。物語はクライマックスに向かって一直線!といったところです。今回はギブサイドとツキシロサイドで同時に戦闘が起こるのでせわしなかったです(笑)。ツキシロが今までとは違いかなりパワーアップしているので(しかし、まだ使いこなせていない……)ずっと読んできた身としてはうれしかったり。
さて、今回ギブの兄弟子フィロフェイ神父とその≪聖なる下僕≫ランスがツキシロと共同戦線張ってますが、この二人いいわ。さすがリチャード師匠の弟子。まじめそうに見えて根本の部分は一緒だ。ギブはギブで最後の最後にツキシロにしてやられていますが、これは過去の悪行の数々の祟りではないかと。とりあえずがんばってくださいね〜と無責任に外野から応援しておこうと思います(ニヤリ)
Jul/05/2005 ↑TOP
 『スカーレット・クロス 月牙の命脈


シェオル・レジーナ 魂の捜索人

村田栞/左近堂絵里(イラスト)角川ビーンズ文庫【bk1amazon

人に見えないモノが見える少年シオンは魂の捜索人である修道女ファティマの元に弟子入りすることになる。ファティマの相棒で堕天使であるグランディエと三人で行方不明となった魂を探すが……。

ビーンズの新人さんの作品。普通におもしろいんだけど今ひとつパンチに欠けるような〜、そんなかんじで微妙に消化不良。お話の土台自体とかキャラクターは好みなんだけどな。破壊力抜群のファティマとかは結構好きだし、がんばるシオン君は好感度大だし、グランディエのファティマに触れられないという切ないラブはツボだし、山羊頭さんはなんとなくおちゃめだし。
話も中盤後半(という表現があるのかは知りませんが)に急にでっかくなりましたな……。まだまだ続くようなので今後に期待です。あ、最後に、スカートのスリットには無理がありすぎるような気がします。史実(魔女狩り時代のヨーロッパ)を舞台にするならありゃ無理すぎる。と、どっぷり浸かれなかったので余計なことまで気になってしまいました(浸かれたら些細なことは気にならないので)
Jul/02/2005 ↑TOP
 


霧の日にはラノンが視える 4

縞田理理/ねぎしきょうこ(イラスト)新書館ウィングス文庫【bk1amazon

フィアカラに連れ去られた妖精たちを助け、フィアカラの陰謀を阻止するためにクリップフォードに向かったジャック達。村ではフィアカラの甘言に乗り、ストーンサークルを復旧させる計画が村人に受け入れられ、実行に移される寸前のところにきていた。【星の銀輪のめぐる夜に】

あー、おもしろかった!大円団とはこのことですね!とおもわずうれしくなるようなラストがよかったです。
物語の落とし方が予想も付かない展開で、ほー、まさかそうくるかーという感じでした。(ちょっと笑えるけど)やな奴だなーというフィアカラの印象がガラリと変わってしまったのも事実。なんやかんやでこいつも憎めない奴だ(巻末のおまけの4コマ(ネタバレ)を読むとよけいに)。
ジャックはかっこいいし、レノックスはいい奴だし(巻末の後日談で完璧にはまってしまいました。レノさんらぶ)、ラムジーいい子で……。アグネスをはじめとする女の子はみんなかわいくてかっこいいし、登場人はみんな魅力的。ロンドンの日常に紛れ込んだ妖精達の物語、少女小説としても安心して読めますし本当におすすめです。一気読みできて幸せー。
Jun/30/2005 ↑TOP
 『霧の日にはラノンが視える 3


闇の守り手1 ナイトランナー

リン・フルエリン/浜名那奈(訳)/由貴海里(イラスト)C-Novels Fantasia【bk1amazon

無実の罪でとらえられたアレク少年は、サージルと名乗る不思議な青年に助けられ、奴隷商人に売られる直前で逃げ出すことに成功する。密偵であるサージルの弟子となったアレクは、サージルとともに旅をすることになる。

C-Novelsが本腰入れて開始した海外翻訳ファンタジーを読んでみました。実直でけなげな少年(しかも本人が気づいていない秘密がありそう?)のアレクと、これまた過去に謎だらけの七変化密偵サージル(ちょっとお姫様はどうかと思いました)の緊迫した道中が結構楽しかったです。ラストはこれからどうなるんだろうというどきどきの場面で終わりましたので続きが楽しみといえば楽しみなのですが……、前の翻訳物と今回の翻訳物で痛感してしまったこと。それはどうも翻訳物は肌に合わないっぽいんですよねー。ストーリー展開はすっごく好みなんですが、どうも文章がなじまない……。もしかしなくても私に翻訳物は鬼門かも、残念。
Jun/末/2005 ↑TOP