2002年12月の本の感想


レーヌスを渡る金狼  ゲルマーニア伝奇
榛名しおり/池上沙京(イラスト)・講談社X文庫WH・【bk1別窓版

反ローマの態度を明確にした実兄ララ・ルネに対し、メロヴェは病床の父親に代わり戦場で相まみえることとなった。メロヴェの部族内抗争がはじまろうとしていたとき、川の向こう側にはローマからゲルマニアに帰ってきたクィントゥスがいた。

表紙に注目。目の保養目の保養…、という話は置いておいて。自分の実力以上の期待をかけられていることを重荷に思いつつも、なんとかして役目を果たそうとする健気なメロヴェが印象深い。そこをちくちくと責め立てるララ・ルネには殺意に近いものを感じた(笑)。さて、ようやくメロヴェとクィンは再会を果たすわけですが、”相思相愛”(ユリウス談)までの道のりはまだまだ遠いなぁ。謎の「鷲の目の男」やペティロッソの秘密、ララ・ルネの思惑やウェレダ(メロヴェ母)のメロヴェに対する嫉妬。いろんな事が絡まり合って複雑な展開を見せそう。
12/26/02 ↑TOP
 『黒き樹海のメロヴェ ゲルマーニア伝奇

テュロスの聖母 / ミエザの深き眠り  アレクサンドロス伝奇
榛名しおり/池上沙京(イラスト)・講談社X文庫WH・【bk1別窓版

フェニキアの貿易都市テュロス。そこで娼婦として生計を立てていたサラはリュシアスという名の青年と出会い、新たな人生を歩むこととなる。

2冊分のあらすじは上手く書けないな…。上のはとりあえず1冊目のあらすじもどき。この話は、少女サラと歴史上の大人物とそれに関わる事件を描いたものかな?だって、メインタイトルはアレクサンドロス…。2冊目でお目見えしております。でも、サラの思い人はアレクサンドロスでもなくて、ハミルという少年なんだけど、こいつはこいつでいろいろと事情を抱えておりまして、サラとは途中別行動になって…。次に再会できるのはいつだ?サラはサラですごい過去持ってそうだし、マケドニアのほうは色々問題抱えてて、ちょっとし政治の駆け引き見られそうだし。しかしながら、壮大なラブロマンスっぽい(ここ重要)ので、とりあえず最後までぼちぼち追いかけてみようと思う。
12/23/02 ↑TOP
 

緑のアルダ  石占の娘
榎木洋子/唯月一(イラスト)・集英社コバルト文庫・【bk1別窓版

コーサ国の辺境・東の果ての半島の荒れ果てた土地にすむアルダ・ココ。彼女の石占いは、その命中率から国中に知れ渡る程だった。ある日、アルダ・ココはあかずの森で地精ヨールと出会う。ヨールとの出会いにより、彼女は国に緑を取り戻す旅に出ることを決意する。

がんばる女の子の冒険物語のはじまり編。彼女のお供は地精ヨールに謎の凄腕青年剣士ウルファ。ヨールのマイペースな性格がやっぱりいいなぁ(詳しくは、『龍と魔法使い』の後半)。2人に手玉にとられまくっているウルファもおもしろい。やっぱり、榎木さんの書くこういう世界は、私のツボにジャストミートだ。
守龍ワールドの新シリーズで、前シリーズ(リーダ・ロイスと龍魔)の落とし前編らしい『石占の娘』シリーズのスタート。『龍と魔法使い』しか読んでいないんだけど、各所に出てくるあの人を思わす場面に思わずにやりとしていまう。思わずもう一度読み直したくなってしまうこと間違いなし(読んでなくても全く問題はないけど)。
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 『龍と魔法使い

現は夢、久遠の瞬き
朝香祥/鈴木理華(イラスト)・集英社コバルト文庫・【BOOKNAVI別窓版

飛鳥時代、少年だった真人は病に置かされた妹を助けるために御諸山の媛神と夢違えの約束をする。時は過ぎ、青年になった真人が歌合わせで見かけた女性は、ずっと想い続けていた媛神と同じ姿をしていた。

朝香さんのコバルトデビュー作。時代としては『明日香幻想』のすぐあとくらいになる(品治は…、別人だな、きっと)話で、古代日本が好きな方には直球ストレートかと。真人と媛神の蹈鞴の切ない不思議なラブストーリーを軸に物語は進んでいく。そして、クライマックスが秀逸。本当に切ない物語で、心の中は大洪水を起こしていた…。ラストはラストで、これまた…!かなりお気に入りの一作となった。
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スリピッシュ! ひとり歩きの姫君(前編)
今野緒雪/操・美緒(イラスト)・集英社コバルト文庫・【bk1別窓版】 

ワースホーン国の東方牢城の囚人アカシュは、雑居房にいる”預言者”から女難の相を言い渡される。そんなことあるはずない、とタカをくくっていたアカシュだが、なぜか女性に関するトラブルを予感させるような出来事が続き…。

待望の続編。『マリ見て』の方が有名な今野さんですが、個人的にはスリピッシュの方もお気に入り。作中、ロアデルに関するお話はコバルト本誌の方で一度読んでいたんだけど、ちょこちょこと手直しされていたし、大きな流れのなかのひとつの出来事、と考えると新鮮に読むことができた。すれ違いにすれ違いまくるというどたばた感が楽しい。お気に入りのトラウトさん、やっぱり猪突猛進で、登場人物紹介の絵にはコまで描かれてるし(笑・注:トラウトさんの家系は「西のゆでだこ」と呼ばれている)。題名どおり”姫君”たちがいろいろと騒動を起こしてくれそうで楽しみ。とくに、アカシュのお姉さんのパワフルさは…、後編に期待
12/20/02 ↑TOP
 『スリピッシュ!盤外の遊戯

めぐりの蝶の宝珠姫
上領アヤ/四位広猫(イラスト)・角川ビーンズ文庫・【bk1別窓版

ブライダルショーにモデルとして参加することになっていた珠希。ショーの控え室に現れた謎の美形青年に「贄え姫」と呼ばれ、珠希はパニックに陥る。そして、気がついたらそこは異世界だった。

女の子視点のボーイ・ミーツ・ガールな異世界召還ファンタジー。こっちの世界(現実世界)とあっちの世界(異世界)に別れてしまった蝶、あっちの世界の蝶を宿したお姫様に異変が起きてしまったために、こっちの世界の蝶を宿した珠希があっちの世界の安寧を守る一族(でいいんかな?)の青年に連れて行かれるという、まぁ、こういう話です。蝶や一族、あと世界を恐怖に陥れるという鬼にいろいろとからくりがあって、そこら辺はそれなりに楽しめたけど、個人的には全体的に今ひとつ…。洋風文化と和風文化の混ざり具合とか、ヒーローが微妙にボじゃなかった(笑)ところとか、ラストがイマイチ釈然としなかったところとか。あとは、よく考えてみると実は結構グロイ部分があったりして、ああいうのちょっと苦手なんだ…。
12/17/02 ↑TOP
 

ワイルド・カード 憂鬱な怪盗たち
佐藤ちあき/伊沢嘉仁(イラスト)・集英社コバルト文庫・【bk1別窓版

高価な品物を合法でない手段で入手しては普通に使うことが趣味のジン・オスカー=アシュレイ。ある日、とある宝石を報酬に屋敷から”女の子”をさらうという仕事が舞い込む。少女を連れ出すことに成功したが、その少女には重大な秘密が隠されていて…。

いろんな国が出てくる上に、公国だの爵位継承者など半分寝ぼけた状態で読むのは辛い一冊(いえ、こういう舞台は大好きです)。電車や車が走りはじめた位の、架空のヨーロッパっぽい国が舞台(中国っぽい国も出てきますしね)。暗そうな過去と結構すごい肩書きを持つ割に、あまり悩んだところを見せないジンと、彼の相棒キーフの絶妙のコンビネーションがいい。あとはですね、ウナが、ウナがかわいすぎる…。悩殺だ…。すっかり”お父さん”が板に付いてしまったジンの姿に笑いをかみ殺して読んでいた。いろんなコンビの掛け合い会話が楽しめた。
まだまだ伏線っぽいものが残っていて、続きもでそうな感じだし、総合的にはよい感じなのだけども、それぞれの呼び名はせめてふたつまでにしてほしい…。3つも出てきたらもう誰が何やら。最初の登場人物紹介のページをちらちら見ながら読み進めていく羽目に陥った。
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楽園の魔女たち 〜天使のふりこ〜
樹川さとみ/むっちりむうにい(イラスト)・集英社コバルト文庫・【bk1別窓版

自殺を思いとどまった少年が魔女たちの元にやってきた。どうやら彼の自殺の原因は世にも珍しい”天使時計”というものに関係あるらしく…。<天使のふりこ>

楽魔女の短編集。表題作・4人の魔女たちが活躍する短編『天使のふりこ』、虹の谷時代のほんわかハートフルストーリーの短編『しっぽの音楽会』、超ショート『ごくちゃんの小旅行』、若き日のアシャ・ネイビィを描く中編『騎士と卵』の以上4作収録。
どれもこれも「楽魔女だ〜」と楽しく読めたのだけど、やっぱり一番は支部長どんの若き日を描く『騎士と卵』。”うま子”と支部長どんのふれあいがほほえましくて、彼の熱血ぶりも素敵(笑)。そして、最後にはほろりときてしまった。
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 『楽園の魔女たち 〜月と太陽のパラソル 後編〜 

海賊王の帰還  暁の天使たち3
茅田砂胡/鈴木理華(イラスト)・中央公論社C-Novels Fantasia・【bk1別窓版

ダンが義父から聞いた衝撃の事実。そして、その上”彼”の再生体が連邦に奪われてしまうという知らせまではいる。

あ、あらすじが何を書けばいいのか、さぱっり。話は大して…、進んでないし。タイトルからも分かるように、ついに、ついにあの人が帰ってきます。やっぱ、ええわ、あの人…、かっこいい(<→最後の8ページしか出てこなかったけどね…。←>。半ばまではほとんど『天使が降りた夜』の補足というか、補完というか…、そんな気がしてしまいましたが、徐々に”暁の天使たち”の為の話になってきた感じ(今までは、あくまでも『天使…』の続きという感じしかしなかった)。ようやく悪役らしい人も出てきたし、キング以外にもあの人とかあの人とかの復活を匂わすような展開。みんなが一堂に会した日には、鼻血を吹くくらい興奮してしまいそう。

補足:いままでさんざん言ってますが、この話を読む際はひとまず、『スカーレットウィザード』を読んでおかないと話の半分も理解できないかも知れません(特に外伝『天使が降りた夜』は必読)。そして、できれば『デルフィニア戦記』なんかも読んで頂けると要所要所でにやりとできるのでお得。
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 『神々の憂鬱 暁の天使たち

白い矢 黄金の拍車
駒崎優/岩崎美奈子(イラスト)・講談社X文庫ホワイトハート・【bk1別窓版

エドマンドの招きで馬上槍試合の観戦にやってきたリチャード、ギルフォードそしてトビー。試合の中での暗殺未遂事件に巻き込まれ、のんびりと観戦するするという3人の予定はあえなく消え去っていった。

騎士になったはずの2人なのに、全く騎士らしいことはしていない、というところが切ない(笑)。やはり今回も暗殺未遂事件の犯人探しに一足買うハメに陥るリチャードたちだけど、相変わらずの頭脳を見せてくれた(結局、やっぱり私の予想する犯人とは違った。今までほとんど当てたためしが無いな…)。エレインやコーネリアなど美人でたくましい女性がたくさん出てきて個人的に満足。リチャードやギルにとっての新たな天敵(今後の登場があるかは謎だけど)も登場して、そこら辺の嫌みの応酬なども楽しめた。エドマンドとウェイド、リチャードとギル、それぞれのコンビがなんだかいいわ。
12/07/02 ↑TOP
 『黄金の拍車

蒼き迷宮のスルタン ローゼンクロイツ
志摩友紀/さいとうちほ(イラスト)・角川ビーンズ文庫・【bk1別窓版

セシルはスルタン・ファルザードの正妃になることが決定する。記憶の戻らないセシル、なんとしてもセシルを取り返したいオスカー、セシル(ギュハバル)に執着するファルザード。ファルザードの命を狙う王太后の背後にはあのアルマンの影まで見え隠れし…。

スルタン編の解決編。あー、いい感じにグランドロマン、王道。でもって、やっぱりオスカー、何となく影薄い、ダンナなのに。今回は何か物足りないと思ったら、マリー(セシルの母上)の出番がなかったんだな…。幕間のマルガリーテとルネには心が安らいだ(そして、ファーンとかサラヴァントって誰だっけ?と言う感じに。よく分からなければ『エーベルハイトの公女』を先に読むことをおすすめ)。期待、というか予想どおりに<→ダンナの愛で記憶を取り戻すセシルやら、いい人はなかなか死なない、とか(今回は例外もあったけど)←>いろんな意味で安心して読める作品だと思う。ただ、ヒロインが実は男という点をのぞけば(涙)。女の子でも十分話通用すると思うんだけどな…
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 『黄金の都のスルタン ローゼンクロイツ

スパイラルカノン 狩人は夜に目醒める
朝香祥/成瀬かおり(イラスト)・角川ビーンズ文庫・【bk1別窓版

妖を呼び寄せる体質の大学生の羽住一帆は夜の公園で奇妙な少年・香ノ倉悠惟に出会う。悠惟は妖を屠るという「狩人」だった。その現場に居合わせてしまった一帆は、気がつくと病院のベットの上。その上、数日の記憶をなくしてしまっていて…。

キターブ・アルサール』や『三国志シリーズ』などが私のツボを直撃しております朝香さんの新作。今度はうってかわって、現代物のサイキックアクション(でもないか…?)。陰陽師じゃないけど、それと同世界の職業の「狩人」の少年と、ひょんなことから事件に巻き込まれた(<→ことになっている←>)大学生が主人公。いままでのシリーズとはかなり趣が違うような気がする。主人公たちの心情が、なんか辛い。一帆の方には思いっきりだまされててしまったし…。これから!というところで終わっているので、この次でる新刊で2人がどうでるかが楽しみ。
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ペルガモンズ・エンジェル!
高瀬美恵/忍青龍(イラスト)・角川ビーンズ文庫・【bk1別窓版

夢は「かわいいお嫁さん」の久遠絢子は久遠財閥の現総帥。どうも男運に恵まれない絢子はある日、行きつけの喫茶店で理想の男性と出会ってしまう。そんな彼がピンチに陥っていると知った絢子は、仲間(怪盗・凶悪科学者・呪殺師)を動員して危険を救おうと決意する。

えー、なんと言ったらいいのか、とにかく「パワフル」。なんとなく、いい…。どこはかとなく”百合”な感じであるけど。
それぞれアクの強いキャラで、話がどんどん進んでいく。なかでも、科学者のわけの分からん助手軍団マイティ・キティーズには笑わせてもらった…。笑ったと言えば、すみれ(怪盗)の絢子と美綱(科学者)との、弱みとなっている過去とかにも笑いが…。ヒロインのはずなのに、絢子の印象が薄いのは、きっとすみれのせいだ(笑)。”大富豪”という絢子の実力がイマイチ発揮されていないような気がしなくもないので、次回があるのなら是非ともそこらへんを期待している。さて、絢子が零市の気持ちに気付くのはいつのことやら。
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月と貴女に花束を
志村一矢/椎名優(イラスト)・電撃文庫・【bk1別窓版

獣医を目指す大学生・月森冬馬(変身できない狼男)は、父親の陰謀により気付かぬ間に結婚していた。奥さんとなったのは、天然美女・深雪。押しかけ女房に戸惑いつつも、冬馬は次第に深雪に惹かれていく。

噂の『月花』についに手を出してしまう…。端的な感想としては「お腹いっぱい。ごちそうさま」(笑)。最初から最後まで、きわめてお約束なストーリー展開だったことは否めないけど、それでもやっぱりそういう展開がうれしいときがある。何というか、今時ベタな少女マンガにもないくらいのラブラブっぷりが潔すぎてこれまたよし。あとは、冬馬の家族が一癖も二癖もあっておもしろかった。特に、静華お姉様…、最高。静馬兄さんも飄々としていて、ああいうキャラ好きだな。
イラストもすごくきれいで、総合的には(ごくごく個人的に)好きな部類。最終巻までぼつぼつ読んでいこうと思う。
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