王女修行、はじめます。 / 高丘しずる

本の感想, 作者名 た行高丘しずる

「神は跪き、悪魔ですら魂を捧げる笑顔の美しい女」が運命の女であると幼い頃に出会った占い師に告げられた傭兵のセットが街中で救ったのは一見少年の不思議な少女エリーザベト。生来の面倒見の良さを発揮してリドホルム王国の王太子を自称する奇妙な少女に振り回されるセットは、途中天才密猟少年アルノルトも拾ってしまい、奇妙な旅を始めることになる。


帯の「起死回生・新シリーズ」というところが本の内容よりむしろ……と一瞬前シリーズのことが頭をよぎってしまって切なくなった作者さんの新シリーズ。前シリーズとはうって変わって175度くらい方向転換をしたかのようなおもしろ三人珍道中物語でした。相変わらずアクがつよいというか、だめな人にはまったくだめそうだなぁと感じる文章ですが私はわりといける作者さんです。

いわゆる常識人(に見える)のが主人公のセットくらいしかおらず、底なし胃袋能面言葉足らず王女のエリーザベトに、フェミニストで男と女に対する態度が全く別人のアルノルトと個性が強くてその掛け合いを読んでいるのが結構楽しかったです。
三人+王女の世話を押しつけられた旅芸人一座での世直しの旅になるのかなぁと今後の展開を予想。王女の性格が性格なだけにたとえ彼女がセットの運命の女性であったとしても何も進展しそうにありませんが(そこはかとなく失礼)、そうなったらなったですばらしい展開なので地味に期待……してもいいでしょうか?そこらへんの進展なくても変な人たちの掛け合いがおもしろいので続きも楽しみです。

img王女修行、はじめます。
高丘しずる/由貴海里(イラスト)
B’s-LOG文庫(2008.03)
ISBN:978-4-7577-4122-5
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