“文学少女”と慟哭の巡礼者 / 野村美月

本の感想, 作者名 な行野村美月

入試を目前に控え、卒業間近な遠子と離れる寂しさを感じながらも心葉はななせと初詣にいくなど、少しずつ距離を縮めていた。穏やかな時間が流れると思われていたその矢先、ななせが入院したという知らせを受ける心葉。ななせを見舞った先で再会したのは、あの「美羽」だった。


最新刊の感想がある種のカーニバル状態になっている中で文学少女第5弾。ついにというかようやくというか、心葉の心の闇の原因である美羽の登場する美羽編。美羽に関してはもうちょっと引きずるのかなぁと思っていたんですが割合ときれいにこの一冊で収まっておりました。
しかし、きれいに収まるとは言っても内容は、内容は……美羽怖っ、という言葉がまず最初に思い浮かんでしまいます。強すぎる負の感情を読んでいくのは辛いし苦手なんだけどこのシリーズはそのあたりもぐぐいと読ませてしまうからすごいなぁと思いますが……、しかし美羽はすごい。怖いだのすごいだの言ってますが、お話の流れとしてはいつも通りほろ苦くありつつも最後にはほっこりとなんとなくよかったなぁと思ってしまえる展開はさすが。しかし、話のからくりを知ったときはちょっとびっくりしたんですがこの前出た最新刊のちょいネタバレ感想をうっかり読んでしまってこんな所からっと驚いてしまったのも事実で……。

この話の美羽にびびりまくっている私なので、今出てる最新刊はとにかくすごくえげつないという噂ばかり聞いているので読むのにすごく勇気がいりそうです。既刊分の短編集と合わせて、ぼちぼち読んでいこうかと思います。

img“文学少女”と慟哭の巡礼者
野村美月/竹岡美保
ファミ通文庫(2007.9)
ISBN:978-4-3685-6
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