モンスターズ・イン・パラダイス3 / 縞田理理

本の感想, 作者名 さ行縞田理理

退職届を残して突如姿を消したカートを追って、ジョエルはカートの故郷に向かう。カートの母親が経営する吸血鬼だけを集めた娼館に乗り込んだジョエルはカートの説得に乗り出した。そして、二人の話し合いが平行線をたどる中、突如カートの父親クラウスが現れる。ふざけた態度の中にも逆らえない何かを感じさせる強力な吸血鬼であるクラウスにカートはあらがえずに……


モンスターズ・イン・パラダイスの最終巻。神話的人類誕生の謎や神様の謎など、世界の謎が一気に明かされるハイスピードな展開でした。話がここまで大きくなるとは思いもよりませんでした。何のかんので結局の根本原因は壮大な○○○(カタカナ三文字)だよ!というオチが何とも良かったように思います。

最後の最後に出てきて圧倒的な存在感を放っていたのは、カートの父クラウス。凄腕吸血鬼(語弊がある言い方)なのに、その力の強さ故に飄々という言葉では言い表せないほど飄々としていました。誰が何と言おうとも、シリーズ中もっともおいしいキャラクターだと思います。
最後まで相変わらずのカートのひねくれ具合やジョエルの体当たりなど「刑事モノ」としてはとてもナイスなコンビでしたね。書き下ろしの「その後」のお話はああ相変わらずなんだなぁとほほえましくなり、そしてこれでこの物語が終わりなんだと切なくもなり。その後系のお話はとても好きなので余計によかった~。

壮大な話になったとはいえ、シリーズ当初から感じていた「なんとなく居心地のいいこじんまり感」は最後まで消えることなく健在で、絶妙なバランスだなぁと思いながら最後まで楽しませていただきました。

imgモンスターズ・イン・パラダイス3
縞田理理/山田睦月
新書館ウィングス文庫(2008/03)
ISBN:978-4-403-54125-4
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