カーデュエイル物語 銀砂の魔王 / 夏目瑛子

本の感想, 作者名 な行夏目瑛子

シェリルは幼い頃交わした結婚の約束を胸に縁談をことごとく回避してきたが、ついに年貢の納め時が来てしまう。見合いの席のどさくさに紛れて、約束を交わした相手であるジークを探すために街にでたシェリルは、なにやら奇妙な馬車に乗り込み不気味な城にたどり着いてしまう。そこでシェリルを待っていたのは、「魔王」となっていたジークだった。

魔王様がとてもツンデレ。

一途に初恋の男の子を想い続けるヒロインと、ヒロインを心の支えに生きてきた「魔王」となった青年のお話。幼い頃交わした約束のために、あることを実現し、その実現のためにたくさんのものを失ったジークの想いがとても切なくて、そしてなんとも奇妙な「魔界」のあれこれがなかなか興味深かったです。しょうがないとはいえ、ジークの性格のねじ曲がり具合は残念でならん……と思ってたら実はそれが(ネタバレ)かーといい意味で裏切られました。

しかし、イラストとあらすじからは想像できない程度にラブコメでした。……とても味のある、ラブコメでした……。基本は割にシリアスなんですが、ヒロインのその若干ずれた感覚と奇妙なモノで溢れている魔界のおかげでコメディになっていました。そして、このコメディのセンスが私のツボにまったく入らず、少々読み進めていくのが辛かったです。肌に合わないコメディほど読んでいて辛いものはないと思ってしまったのですが、これだけは個々人の感覚なのでどうしようもないですね。コメディを買うときは気をつけよう。

成り立ちそうで成り立たなかった三角関係や、想いは通じたものの結婚まではまだまだ障害がありそうなジークとシェリルともう少し続くのかも?です。

imgカーデュエイル物語 銀砂の魔王
夏目瑛子/Ciel
B’s-LOG文庫(2010.03)
ISBN:978-4-04-726394-9
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