ダブル・エンゲージ 企む王子は殺し屋と踊る / 渡海奈穂

本の感想, 作者名 や~わ行・他渡海奈穂

壊滅寸前の傭兵団≪烈風鳥≫を救うため、エステルはとある国の「悪辣非道」と評判の第二王子アルヴィンを暗殺するという仕事を単独で受ける。依頼主の手引きでアルヴィンに近づくエステルだが、アルヴィンの方が一枚上手で暗殺計画はことごとく失敗する。しかも、エステルの特異体質に気付いたアルヴィンはある事件の解決の手伝いをエステルに迫ってくる。

守銭奴と傭兵の勝負。

2冊同時刊行「ダブル・エンゲージ」の≪交戦≫編。暗殺対象となった王子様と、実戦経験のない傭兵の女の子の勝負のお話。

種々のやむにやまれぬ事情で王子様になったため、あんまり王子様っぽくなくて(できたら王子様は廃業したい勢い)冷酷非道というより面倒くさがりで皮肉屋の「守銭奴」の王子様がおもしろく、そしてターゲットのアルヴィンに一目惚れされてがんがん攻められていくエステルのやりとりがこれまた面白かったです。殺す側と殺される側、という立場を乗り越えて、力を合わせてとある陰謀を暴いていくところはすかっとしました。お互いに頼りにしている関係というはとても好物です。そして、お兄ちゃんに関しては敵なのか味方なのか!いつもだまされるので今回の私はだまされないぞ!と思いながら読んでたんですが……面白いお兄ちゃんだな。

imgダブル・エンゲージ 企む王子は殺し屋と踊る
渡海奈穂/石川沙絵
一迅社アイリス文庫(2010.04)
ISBN:978-4-7580-4150-8
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