月の瞳のエゼル~太陽の王子と闇の鉤爪~ / 我鳥彩子

本の感想, 作者名 や~わ行・他我鳥彩子

パン屋の養い子エゼルは、霧魔の被害に苦しむ街でその霧魔を呼び寄せる存在だと周囲から敬遠されていた。ある日、霧魔の討伐にやってきた王子に助けられたエゼルは、王子の「秘密」をに気付いてしまう。このまま街にいても育ての親に迷惑がかかるだけと、王子の秘密を知ったことを機会に、王子の元で働くことに成功したエゼルだが……

弟君が結構おいしい。

デビュー作から独特のファンタジーだった我鳥さんの二作目。こちらもなんとなく独特の世界を舞台に広げられる「ラブコメ」を目指した物語とのことですが……コメはなかったですね!(後書き参照)
プロローグで王子様の名前読みにくっこれは読みにくい話なのかっと若干びびってましたが、王子様の名前が読みにくいのは仕様で、それ以外は特に読みづらいことはなくよかったです。

一人孤独に耐える王子の元に現れた、一筋の光明となるエゼル。ひたむきにがんばるエゼルには好感がもてるんですが、もてるんですが……何かが足りなかったのが残念。どこがどう不満かはうまく言い表せないんですが、エゼルのひたむきさが少し「できすぎている」ように感じたのがだめだったのかもしれません。とはいいつつも、全体的には楽しめました。なにより「魔」と表裏一体の世界がすごく興味深かったです。さらに、弟君や側付きのお茶目な将軍さまにも笑ってしまいまい、早く素直になりなよ王子ーと野次馬根性で読んでしまいました。

img月の瞳のエゼル~太陽の王子と闇の鉤爪~
我鳥彩子/凪かすみ
集英社コバルト文庫(2010.08)
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