双界幻幽伝 出逢いは前途多難! / 木村千世
幽鬼が見えるという特殊能力のおかげで、引きこもり生活を続ける黒烏州刺史の妹・朧月の元に、主上の命を受けて名門・劉家の蒼刻が朧月の力を借りに訪れる。朧月は拒否権なく蒼刻につれられ、幽鬼がらみの事件らしい唐突に屋敷ごと「消失」した公主の行方を調査することになる。
ひゃー面白かった~!凸凹コンビが素敵!
引きこもりで全力で後ろ向き人生の朧月ちゃんと、とある事情で彼女を相棒に事件を解決せねばならなくなった見た目怖いけど実は案外面倒見のいいアニキの蒼刻のドタバタ物語。ふたりの距離の縮まり方が思ったよりもスピーディーでびっくりしました。この疾走感もたまらない……。
この物語、全体的に私のツボにはまりまくる大層お気に入りの物語となったんですが、何がよいってまずは主役ふたりのこの微妙な距離感。そして頼もしく騒がしいそしていろいろ面白い朧月の保護者の幽霊や、頼りになるダンディ張さん、そしてちょっとしか出番がないのに絶対この人おいしいわ、と思ってしまう朧月のお兄さん、さらに何考えてるかよく分からない世継ぎの公子と周囲の登場人物も魅力的なのがよかったな。
朧月の、後ろ向きだけど自分の能力に関する問題に取り組むときは一転してきりりと凛々しくなるというこのギャップもなかなか好み。
ということで、書店で特典としてもらった表紙にまつわる小話を読んでニヤニヤしつつ、いろいろ楽しすぎたので、シリーズ化しますよね!と期待してます。