伯爵と妖精 情熱の花は秘せない / 谷瑞恵

本の感想, 作者名 た行谷瑞恵

プリンスの組織に捕らわれたリディアは、とっさにエドガーの子を身ごもっていると嘘をついて、リディアの命を狙うテランの目をごまかす事に成功する。そして、組織の目を欺くためリディアに「プリンス」として接するエドガーだが、エドガーの前に過去の因縁の男が現れリディアに危害を加えようとしていることを知り……

ニコさんとレイヴンとケリーさんが相変わらず素敵。

物語もかなり佳境に近付いて参りました、伯爵と妖精の最新刊。「プリンス」の力を得るためにリディアから離れたエドガーのアンバランスな所と、身を守るためとはいえ後戻りできない嘘をついてさあどうごまかす!のリディアの一進一退っぷりがかなりはらはらドキドキでした。シリーズ終盤まで「プリンスとして君臨しつつ自我を保つエドガー」と「伯爵家の人間として妖精国を目指すリディア」で行くのかな、と思ったら、新たな関係を築きながら定位置にもどってこちらは一安心……なんですが、それでもどことなく不安なのは、プリンスの衝動がどこまで抑えられるかどうか未だ未知数だからかなぁ。
それにしても、今回のエドガーは「悪党」時代以上の悪党。プリンスが関係してるからだろうけど、少女小説のヒーローにあるまじき悪党でした。

ニコさん+レイヴンとケリーのほのぼのしつつも秀逸な駆け引き(レイヴン的に)、そしてアーミンにケルピーにロタにポール、つかみ所のなかったフランシスの謎もちょっと明かされる!と周囲の動きもあり、続きも早く読みたいです。

img伯爵と妖精 情熱の花は秘せない
谷瑞恵/高星麻子
集英社コバルト文庫(2011.06)
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