大陸の王 四界物語3 / 黒川裕子

本の感想, 作者名 か行黒川裕子

帝国軍との戦の中、ファティオータはシルッカの身を守るためにシルッカを海に落とすが、戦いの中帝国軍に捕らわれてしまう。ウィゴネール軍と共に帝国に相対したリンゼイ・ヴォーは、復讐の鬼と化したラルファンと勝負することになるが……。

リンゼイ様の成長に涙を禁じ得ない。

伝説の「竜」の騎士になってしまったシルッカと、国を追われた皇子さまの物語、最終巻。シルッカとファティオータ、リンゼイ皇子の戦い、ネルの決意、そしてラルファンのたどり着いた場所。どれもこれもラストにふさわしく、面白かったです。皇子様が最初の傍若無人ぶりから華麗に素敵な皇子様に成長しているので、よくもまあここまで成長して、と見守る気持ちでにやにやとしてしまいました。

にやにやといえば。王騎士の皆さんが結構面白い人たちが集まってそうだなぁと思ってたんですが、最終巻にしておいしいところがあって満足です。そうだよ、おっさんはこういう風にかっこよくなくちゃ!ここにきて気持ちの悪い狂気を見せた皇帝のやることなすこと気分の悪いものだっただけに、おっさんたちと、そしてイーリちゃんが癒しでした。

ファティオータのために戦うシルッカに、皇子として戦うことを決めたリンゼイ皇子、ふたりのオファンとしての絆、そしてふたりの弟子とネル師匠の絆もたいへん良かったです。あたらしい国、世界にむかって踏み出した希望に溢れたラストも爽快で良かったなぁ……3巻きれいにまとまったデビュー作、面白かったです。まとめて一気読みがお薦め。

img大陸の王 四界物語3
黒川裕子/ 黒葉.K
C Novels Fantasia(2011.03)
bk1/amazon