親愛なる花盗人へ恋の罠を ご主人様なシリーズ / 宇津田晴
兄の命令でビブリオ王国一の遊び人アロイスを「誘惑して手ひどく振る」という任務を課されたフリーダ王女は、自身と全く正反対の「悪女」を演じてアロイスに接近する。一方のアロイスは早々にフリーダの本質を見破っていたが、彼女の危なっかしい様子についついかまってしまい……
シリーズ最終巻、おもしろかった!
むふふと頬を緩まさずに読むことは至難の業のシリーズ(とはいっても、全部主人公が違うので独立して楽しめます)最終巻。今回の主役は、ただ一人シリーズに皆勤賞の花盗人紳士協会の名誉会長と、前巻にちょこっとだけ出てきた「凛々しい男装の騎士のお姫様、実は泣き虫弱虫」フリーダ姫という、これまたこの組み合わせを聞いただけで面白いこと確定しているようなお話で、そして実際とても面白かったです!もう途中何回転がったかわかりません。
「特務」でアロイスに無理して近づき、アロイスの人柄に徐々に惹かれていくフリーダ。フリーダの「猛アタック」をにやにやとかわし、妹を見守る気持ちから初恋へ変わっていったアロイス。この二人の心模様がですね!素敵でした。アロイスの砕けた物言いや、たまに出てくる丁寧語がたまらん。丁寧語バンザイ。
妹・弟馬鹿のお兄ちゃん対決としても面白かったですし、既刊シリーズのカップル総登場で、しかも我らの「カールじいちゃん」までご出演と今までのシリーズの総集編的な場面もあり、更にあの人の意外な進展も明かされと、シリーズを全部読んでいると思わず嬉しくなってしまうようなサービスもありました。よい最終巻だったなぁ。次回作も楽しみです。
親愛なる花盗人へ恋の罠を ご主人様なシリーズ
宇津田晴 /結賀さとる
小学館ルルル文庫(2012.05)
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