銀の竜騎士団 学園ウサギのナイショの潜入 / 九月文

本の感想, 作者名 か行九月文

スメラギを敵国アズィールの皇子として認める、という書簡がローレンシアに届いたため、混乱を避けるために配置換えが行われ、スメラギが率いる黒竜隊は王都防衛から学園都市リュースへ異動となる。学問の都として自治を確立しているリュースでは、竜のあり方について疑問を持つ学生を中心に独立を模索する動きがあったが、スメラギの赴任とともに問題が勃発する。

かわいい!女の子!きた!

王女のたまご編2冊目ー。王女のたまご編は次で完結のようですのシリーズ6冊目ー。今度はルーシェが学生さんになって騒動に巻き込まれるお話です。
スメラギの出自がはっきりしてしまったために、ほとぼりを冷ますことも兼ねて学園都市に赴任した一行。シリスの「善意からのアドバイス」を深読みし過ぎてこじれてる二人が、二人が……イライラしつつも楽しみました。すれ違いバンザイ。大学でルーシェが仲良くなった女友達カーラが、シリーズ初の可愛い女の子のメインキャラ!というポジションで、そしてルーシェよりよほど自分の役割をはっきり認識していて頼もしかったです。可愛い女の子、とはちょっと違うんだけど、これは好きな子だなぁ。ルーシェも「そんじょそこらの町娘」がいざとなったらちゃんときりっと王女さまの役割を果たす所がいいんですけどね。

若干説教くさく感じるところにむむっと思ったりするのですが(これは有川浩作品を読んでいる時に感じる違和感とおんなじ感触)、そこら辺はさらっと気にしない方向で。派閥の意見の相違のあたりはもうちょっとスマートに出てきたらそれほど説教臭く感じないと思うんだけど。ルーシェ・カーラ視点からだから余計に、なのかな。
といろいろ思うところもあるものの、ルーシェがあわあわしながら成長し、正体を知っている周囲の人物(ただしルーシャは気付かれていることに気づいていない)のやきもきににやにやするのが楽しいので続きもぼちぼち楽しみに。

銀の竜騎士団 学園ウサギのナイショの潜入
九月文/明咲トウル
角川ビーンズ文庫(2012.11)
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