初恋姫、千里を翔る / 立夏里美

本の感想, 作者名 や~わ行・他立夏里美

女だけが生きる島「女華国」で生まれ育った綾姫は、海岸で行き倒れていた青年・瑛舜を掟に背いて助けてしまう。国に帰った瑛舜は、大国・鳳華国の皇太子として艦隊を率いて女華国に再び現れ、女華の海軍の力を手に入れたいと望む皇帝の意を受け綾姫を人質として国に連れ帰る。皇太子妃候補として後宮に滞在することになった綾姫は、瑛舜の命を狙う刺客から彼を幾度と無く救うことになるのだが、黒幕が

元気なヒロインは良いものですねー。

中華風な世界を舞台に繰り広げられる、男をほとんど見たことがないためすべての男が猿に見える綾姫と、彼女に恋する皇太子さん、そして綾姫となにやら因縁があるような皇太子の影武者の三人の物語。ダブルヒーローものって中盤まで気付かなくて、あれ、この人出番多いなぁと思っていたら最後の最後までいいところをかっさらっていったという……知らなかったからより楽しめたという点もあると思いますので結果オーライ。最後までどっちに転ぶかちょっと良くわからなかったからなぁ。

綾姫(強くないと言いながらも実際は人をふっとばすくらいは腕力がある)が、信念を曲げず、大国相手に「口だけ」で渡り合おうとする姿がかっこよくてよいものでした。男が全部猿に見えるくだりだとか、女性至上主義のところとかは、ちょっと受け付けない人は受け付けないかもしれないんだけど……ギャグ的要素と考えればまあ楽しかった。彼女に課せられた使命があかされたときはナルホド、と思ったのですが、ナルホド以前にその辺りで一気にあかされた「過去の因縁」がわりと強烈で、なんというか、ヒーロー・ヒロインがかさむというかそんな展開で……。壮大な痴話げんかか!的な。あと、女の人こわい。

ところどころ引っかかるところもあったものの、お話のテンポがよいのが良かったです。それでいいんかい!と思うところは多々あれど、好きな部類の少女小説でした。

初恋姫、千里を翔る
立夏里美/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2013.08)
amazon/honto