聖女と王子と鉄壁の騎士 / ひずき優

本の感想, 作者名 は行ひずき優

ディジエ商家の娘フィリアは、持て余した時間を有効に活用するために慈善活動を行っており、いつしか「セレンツィアの聖女」と呼ばれるようになる。そんな彼女の元を、新規にセレンツィアの最高行政官になったアレクシス王子が訪ねてくる。アレクシスは「聖女の支持」を後ろ盾に足場を固めるため、彼の着任のお披露目のための舞踏会へのフィリアの出席を要請する。3日間の活動へのアレクシスの参加を出席の条件としたフィリアがアレクシスと過度に接近しないよう、フィリアのお目付け役たちがあの手この手で邪魔をしてきて……

なんのかんので一番不幸でお笑い担当が王子様だった件について。

前作がドツボにはまったので、新作もチャレンジしてみました。今回のヒロインは「商家の娘さん」で、なかなかたくましく、そして「王子様にぼーっとする」(ミーハーな意味で)とある意味普通の感覚に近いものを持っているお嬢さんでした。王子さまが「婚約者」にぞっこんで、しかも「腹黒」そうなところは面白かったのですが、フィリアのお目付け役達のそれぞれのポジションがつかみにくいことその他が原因で少々途中まで乗り切れないところはあったのは事実でして……。しかしディジエ商会に対して、ライバルの商家が本格的に仕掛けてきたあたりからだいぶ面白くなってきて、そして最後は王子さまが真実を知ったときはどんな反応するのかなぁ、というあたりも楽しくて、中盤辺りからはノリノリで楽しんでおりました。
一番面白かったのは、王子さまが真実を知った時に、まさしく「orz」というような反応を示すところで……!この話、コメディ色はそんなに強くないんですが、ここは確実にコメディだった。肩をそっと叩きたくなるような真実でしたねー、ご愁傷様。
本格的にちょっかいをかける王子さま、免疫がないのであたふたするヒロイン、全力で阻みにくる三人のお目付け役、とこの辺の攻防をもう少し読んでみたいので、続きもあれば嬉しいです。

聖女と王子と鉄壁の騎士
ひずき優/七都マサコ
集英社コバルト文庫(2013.10)
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