宝塚-宙組 / SANCTUARY(サンクチュアリ)
宙組さんのバウ公演を見てきました。
当初チケットを持っていなかった(前売りで買えなかった)ので私の中ではなかった公演になっていたのですが、観に行くべきだ!と言われて直前に必死になって探したらなんとかなったという、最後まで諦めなければ美しいものが拝めるよ!という公演でした。素晴らしかった……。
ポスターの主人公アンリ役の愛月さんが黒ずくめだったので、アンリはダークヒーローに違いない!と勝手に思い込んでいましたが、ダークヒーローどころかまっすぐな好青年でした。信仰と自分の取る道との間で揺れ、そして政略結婚相手に恋をする様子がかっこよく、そしてちょっとかわいかったです。
アンリの政略結婚相手のマルゴ王女の伶美さんは、もう「お美しい」としかいいようのない完璧な王女様でうっかり気を抜くとうらら様ばかり観てしまうという罠が待ち構えておりました。髪の毛おろしてるうらら様も素敵だけど、こう、アンリに恋するようになってから髪飾りをつけ始めるマルゴがこれまたかわいくて!美人で!もうキュンキュンしすぎて疲れました。美しさは罪。
あとはこの物語の敵役のギーズ公がひとりでいろいろ美味しいところをかっさらっていかれたように思います。主に中二的な役回りで。ひとりで「俺のこの傷がうずくぜーーー」という感じで復讐に燃えておられるのですが、なんというか、すごい熱演だなぁと。あそこまでアクの強い悪役だと、悪役がいもあるってものですよね。
と主要登場人物にかなり目が行ってしまう物語でしたが、純矢さんの皇太后様もさすがの存在感で素晴らしかったです。そしてすごいなぁと思ったのがマルゴの兄王シャルル9世の方。不安定なシャルル9世を見事に演じられていたように感じました。
舞台の薄暗さや、音楽がなんだかすごく雰囲気出てて、ヨーロッパの教会やお城の中にいるみたいですごくいいなぁと感じました。そして、中途半端に世界史かじっているだけなので、アンリさんが何するか思い出せないまま行ったのですが(文明の利器を使うの忘れていた)、途中でもしかしてこれはサン・バルテルミの虐殺の話なのかーと幕間に調べたところ、史実のアンリとマルゴの冷め切った関係を知ってしまったため、まあこれお芝居だしな……と宝塚らしい改変に感心していました。史実では、キーズ公もかなり粘るんですね、敵に回したくないタイプですね……。何はともあれ、いろいろ不穏なアレコレをどうやってまとめていくのだろうと手に汗握り、そしてアンリとマルゴは丸く収まるのかとこちらも手に汗握り、最後の最後はたぶんこのお芝居の中で考えられるであろう一番の「上手い着地点」にたどり着いた作品で面白かったです。