朱華姫の御召人 かくて恋しき、花咲ける巫女 / 白川紺子

本の感想, 作者名 さ行白川紺子

穢れ神と戦い行方をくらましていた千依神が戻り、「朱華姫」として正式に宮中に迎え入れられた蛍だが、蛍を追いだそうとする何者かによる嫌がらせが続く。柊とともに犯人探しをする蛍は、柊の兄・萩の母である皇后に出会い、彼女の持つ闇の一端に触れてしまう。

いきなり完結してしまった……残念。

平安時代(個人的には初期を想定)の日本っぽいところを舞台にした、出生に秘密を持つ女の子が母の病のために悪の巣窟(宮中)に乗り込み、帝に取引をもちかけられてその役目をまっとうせんと奮闘するお話二冊目。お役目のために蛍に付き添う「御召人」の柊が、蛍をこれでもか!というくらいに甘やかすので、この甘やかしをにやにやと楽しむお話でもあります。今回はそこから前進して、甘やかされるだけじゃなくて、自分の足でちゃんと歩いて行きたい!という蛍の思いもいいものでしたが、でもやっぱり甘やかされてるからなぁ……実は、どちらかと言うとすべてを薙ぎ払ってひとりでたくましく生きていく系のヒロインの方がすきなので、うん、まあ楽しいんだけどちょっとストレス的なものは感じたりしました。そんなわけで、個人的にはヒロインよりも彼女の先生兼腹心兼友人の絲様が好きです。絲様超かっこいい。

お話は二冊で一気にまとめるためにかなりハイスピードで展開していき、その反則みたいなオチのつけかたでいいのか!(しかし開示されている情報からすると一番納得の行く結末)という所に落ち着いちゃいましたが、いろいろ綺麗にまとまったのでこれでいいのかなぁ、と。もうあと2冊くらいでじっくり進めていって欲しかったという残念感もありますが、次回作も楽しみです。

朱華姫の御召人 かくて恋しき、花咲ける巫女
白川紺子/みずのもと
集英社コバルト文庫(2014.09)
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