身代わり花嫁の懺悔日記 / 宇津田晴

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行宇津田晴

双子の姉で「悪女」と名高いラティファへの王太子ウィロウからの求婚を断れず、ラティファのかわりに嫁ぐことになったサラー。必死にラティファのふりをするサラーだが、根っからの善人のサラーには負荷の高い任務であり、夜な夜な自分の行いを懺悔する日々を送っていた。一方、ウィロウは嫁いできたラティファが噂の悪女ではないことに早々気づき、ラティファのふりをするサラーに惹かれていく。

毎度のことながら、ごちそうさまでしたっっっっ!

天然悪女のおねえちゃんが王太子妃になんかなっちゃったら国が滅びる!と伯爵家のもう一人のご令嬢が姉のふりをして嫁ぐ(頑張って離婚したい)という読み切り。王太子側も(まだ結婚したくなかったので体のいい言い訳に使おうと思っていたため)まさか求婚を受けると思ってなかったけどせっかくなので利用しちゃえ、という打算が働いていましたが、嫁いできた娘さんがよいお嬢さんで、必死に悪女のふりをして「ツンデレ」になっているところにキュンときてるのが、なんというか良かったです。これは喉の奥で笑いを噛み締めながら、お嫁さんが頑張ってツンツンしてるのを使用人のひとりとして温かく見守りたい系……。サラーの本日の懺悔(口述版)の破壊力と言ったらないわー。いいわー。ウィロウも寝たふりしてそれをきくとか、ある意味拷問ですよねぇ……!

悪役も成敗されてしまえ!という小悪党系で、成敗された様子にすかっとし、そしてウィロウに真実を告げるサラーのシーンや、悪女のおねえちゃんの見事な姉振りもよいもので、楽しかったです。やっぱり宇津田さんのラブコメはいいものだ。

身代わり花嫁の懺悔日記
宇津田晴/増田メグミ
小学館ルルル文庫(2016.03)
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