王女が秘される童話 南瓜の王女の研究録 / 長尾彩子

本の感想, お気に入り, 作者名 な行長尾彩子

忌み子として父王からうとまれ、辺境の地で「のんきな王女」を演じつつも領主の仕事をこなし、医術や農作物の研究に勤しんでいる王女ユリアーナのもとに、王から異端審問官のクラウスが派遣される。ユリアーナを監視するために「婚約者」として四六時中ユリアーナに張り付くクラウスに、ユリアーナは辟易しながら毎日を送ることになる。

相変わらず猫(ツッコミ要員)が可愛い。

シリーズ2作目は1作目よりだいぶ前のお話で、今度は双子の王女様の妹が忌み子として地方に追いやられているお話。中央から離れたのをこれ幸い、と命の恩人である医師に弟子入りして医術を修め、農作物の研究もして、ただし中央にはのんきな王女のふりをするという二重生活を送るお姫様と、お姫様の監視のためにやってきた真面目な異端審問官のどこかずれたやり取りが面白かったです。
ユリアーナへの気持ちを持て余すクラウスが可愛くて、クラウディア(猫)のツッコミを受けながらもんもんとする様子がひたすら面白かったです……少年よ、悩めというかなんというか。真面目一徹が暴走したら色々大変だなぁと思いました。
一方で、ユリアーナのなかでクラウスが弟ポジションから好きな人ポジションに移り変わる様子もよいもので、良い少女小説でした。

王女が秘される童話 南瓜の王女の研究録
長尾彩子/宵マチ
集英社コバルト文庫(2016.11)
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