私はご都合主義な解決担当の王女である / まめちょろ

本の感想, 作者名 ま行まめちょろ

どハマリしていたBL小説の世界に転生してしまた元女子高生の転生先は、「ハッピーエンドに立ちふさがる各種問題をうまく解決してくれる」ご都合主義展開に欠かせない存在である(元小説の)主人公カップルの妹王女オクタヴィアだった。ご都合主義的展開の犠牲になることを回避するために、前世で得た知識を使いながら立ち回るオクタヴィアだが……

本人にそのつもりがなくても深読みされて警戒されている主人公が面白かった。

なにか特別な知識をもつでもなく、BL世界に転生してしまった腐女子女子高生が「主人公カップルの幸せのために犠牲になる」ルートが見えてるポジションの王女に甘んじることなく行動をおこすの奮闘の物語。

くすりと笑える場面が多くて面白かった~。(BLはほとんど嗜んでいないので)この物語の舞台のような取り扱いがBL界で普通なのかはよくわからないのですが、上流階級で同性同士の恋愛・結婚は普通で、下々の者は異性愛のほうが主流という世界において、「BLは好きだけどそれのアオリを食らうのは御免こうむる」主人公があの手この手でなんと展開を変えようとする涙ぐましい(こともないんだけど)努力が面白いのです。基本的には「物語の展開を知っている」のであれこれと妙に有能そうな対応をしてしまうオクタヴィアですが、特に王位に対する興味もなにもないのに、王位を狙ってるなどと深読みされていらぬ陰謀に巻き込まれそうになるところがうっかり過ぎて面白いです。
あと面白いのは、イケメンはだいたいBL的展開に突き進んでいくために死んだ魚の目になってる女性陣の反応と、BL的展開に進みたくない男性陣の心の叫び。特に男性陣の連帯感は、南無と合掌してしまいそうになるくらいの悲壮感がありました。

オクタヴィアがご都合主義展開を阻止しようとしているために、もともとの物語と違う展開を見せ始めてるのかな。王位に関するあれこれはもちろん、謎に包まれているオクタヴィアの護衛の秘密などいろいろと楽しみなので続きも読んでいかないと。

私はご都合主義な解決担当の王女である
まめちょろ/藤未都也
ビーズログ文庫(2017.10)
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