魍魎の都 姫様、出番ですよ / 本宮ことは

本の感想, 作者名 ま行本宮ことは

高名な歌人である父とともに、「宵庚申」の大貴族の宴に招かれた諾子。貴族の姫君の枠には収まらないおてんばな姫である諾子は、ふとしたことから嫌みな女房と口論を繰り広げてしまう。しばらくして、女房が謎の死を遂げ、諾子の周囲はにわかに騒がしくなってきて……。


諸処の事情で外伝が先に出ていた、平安時代の魑魅魍魎と戦う(?)シリーズの本編一冊目。表紙から分かるように、外伝のシリアスな雰囲気から一転して急にポップなラブコメでした。

とにかく諾子がかわいくてかわいくて仕方がありませんでした。大変気が強くおてんばで、事件に巻き込まれても自分で原因を追及してやるというかなり行動力のあるお姫様。偶然であった同い年くらいの橘家の則光に反発しつつも気になって仕方がないというこれまたすばらしいラブコメっぷりが大変楽しかったです。
天下の大貴族藤原さんやらなんやらでいろいろと不振な動きがあり、諾子は今後ともいろいろな事件に巻き込まれていきそうです。魑魅魍魎が絡んでくるとはいえ、根本は政争にありそうな展開ですね。しかし、何よりもそれ以上に諾子と則光のラブコメの今後が楽しみでなりません。諾子にちょっかいをかける不穏な存在もおられることですし、則光の今後のがんばりに期待です。

img魍魎の都 姫様、出番ですよ
本宮ことは/堤利一郎(イラスト)
講談社X文庫WH(2007.10)
ISBN:978-4-06-255969-0
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