今夜君を奪いに参上!―紅の宝玉― / 響野夏菜

本の感想, 作者名 は行響野夏菜

ファロン王国の宝玉のひとつを盗むと謎の盗賊団<空の旅団>からの予告状が届いた。好奇心旺盛な王女イリーシェは一目盗賊を見ようと、予告のあった時間に部屋を抜け出す。


ダナークの響野さんの新シリーズは、コメディなのかなぁと思わせるようなタイトルで実は結構シリアス目な不思議な力を持った王女と不思議な力を持った盗賊団のライトファンタジー。

まだ一巻目ということでお披露目程度の登場人物達でしたが、個性に溢れていてお披露目ながら結構強烈。異能の力を隠して生きなければいけない生活に息苦しさを感じながらも家族のためにその感情を封じようとする王女(お転婆)、その王女をなんとしても守りたいと願う異母兄王子(残念ながら次からの出番は……)、融通の利かない王女の凄腕護衛(四角すぎて逆に面白い)、一癖も二癖もある盗賊団の面々。
しかし、お話としては個人的にはダナークほどこれだっ!というところがなくてちょっと肩すかしだったかなぁ。胸キュンポイントが足りないというか、今回の胸キュンポイントであろう王女と王子のアレがあんまり私のツボでないからかなぁ……。ラスト近くの王女と家族の一連のシーンはかなり好きなんだけど。王様、渋くて結構好きかも。
まだまだ謎に包まれている盗賊団の皆さんや、せっかく空飛んでいるんだから、という点あたりは次以降に期待かな。

img今夜君を奪いに参上!―紅の宝玉―
響野夏菜/本多たまのすけ
集英社コバルト文庫(2007.12)
ISBN:978-4-08-601007-5
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