オペラ・アウローラ 君が見る暁の火 / 栗原ちひろ

本の感想, 作者名 か行栗原ちひろ

神の都で世界の王とソラとまみえたカナギだったが、ミリアンの元に戻ったカナギはソラに関する記憶を失っていた。刻一刻と近づく世界の終わりを前に、光魔法協会とミリアンははバシュラールを皇帝として都に迎え入れることを決める。


オペラシリーズ最終巻。とてもきれいな物語で、最後はすべてが収まるべくして収まったような、大満足でそして圧巻のエンディングでした。

登場人物の一人一人が自分のやるべきことをしっかり見据えてがんばっていたところが印象的。特にミリアンはがんばったね、と思わずにはいられません。魔術師の皆さんの気合いのみなぎり方もすごかった。なんかやな人たちだなぁと思っていてごめんなさいと謝りたくなりました。
カナギもトレードマークの病弱というポイントがアレだったのでなんか別人みたいにぴんぴんしててまごうことなきヒーローに見えたのがこれまた印象的でした……。しかしそんな面目躍如のカナギも、ミリアンのラスト周辺のやりとりはほほえましくてニヤリとしてしまいました。
一方、愉快な皇帝を目指すバシュラール関係は吹きながらも実はちょっと感動しました。バシュラールのもとに集う人々のすばらしさはやっぱり人徳のなせる技だな、と。検討課題のあれやこれやもなんやかんやでうまくいったようだし。

デビュー作を読んだときはちょっとアクが強くてあわないかも、と思ってしまっていたのですが、話が進むごとに、世界の謎が提示されるたびにどんどんおもしろく、続きが待ち遠しくなって、そして最後はこの大満足のエンディング。このシリーズを読めてしあわせだなぁとしみじみ思います。世界の謎や神様関係の謎も各種課題もきれいに片付いたので読了感は非常にさわやかです。
次回作も楽しみ。

imgオペラ・アウローラ 君が見る暁の火
栗原ちひろ/THORES柴本(イラスト)
角川ビーンズ文庫(2008.02)
ISBN:978-4-04-451408-2
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