ピィクテ・シェンカの不思議な森 はじまりは黒馬車に乗って / 足塚鰯

本の感想, 作者名 あ行足塚鰯

ムイが祖父から相続したのは、血のつながりがないとその地位に就くことができないというシェンカの森の領主の座だった。魔物が住むという禁断の森に住む人外の住人たちの歓迎を受け、平凡な学生生活を送っていたムイの生活は一変する。


足塚さんの新作は、面倒くさがり屋のヒロインが祖父の遺産を受け継ぐことにより奇妙な人外さんたちの騒動に巻き込まれるのんびりまったり(ただし、たまに事件は起きそう)なお話。

ヒロインが少女小説にあるまじき面倒くさがり屋さんなので、今のところ胸キュン要素はあんまり無いんですが、そこが個人的にはいいかもしれない。ムイは面倒くさがりとはいいつつも、自分の責任はきちんと果たそうとするがんばりやさんだし、結婚させられそうになれば髪を思い切りよく切るのもいとわない行動力を持つ女の子なので結構好きだなぁ。
一方、彼女を取り巻く登場人物も個性があっておもしろいです。食えない執事さん、変なお父さん、世話焼き双子、何かと絡んでくるおじいさんのおじいさんに見えないおじいさん、そして不機嫌執事に謎の兄ちゃんと一冊目にしてみれば結構出てくるですが、混乱することもなく各個性を楽しんでおりました。

何ともいえないほのぼの感が気に入ったので続きも楽しみです。裏でいろいろ画策されてる方はちょっと怖いんですが……、ムイなら何となく切り抜けそうな気がします。

imgピィクテ・シェンカの不思議な森 はじまりは黒馬車に乗って
足塚鰯/池上紗京(イラスト)
集英社コバルト文庫(2008.03)
ISBN:978-4-08-601142-6
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