この手の中の儚きもの 幻獣降臨譚 / 本宮ことは

本の感想, 作者名 ま行本宮ことは

陶工ゲイドが春陽家の当主にその”目”を肥やすためにつれられたのは、王都でも一番の聖女の館『美の娘』。ゲイドはそこで一風変わった聖女イリアと意気投合する。(『この手の中の儚きもの』)


幻獣降臨譚の短編集。短編8編と書き下ろしのアリア父母の出会いのお話『この手の中の儚きもの』収録。

短いのはどれも本編に登場する登場人物を違った角度から見られておもしろかったです。マルチェめちゃかわいい。掲題作の書き下ろしの父母物語が一番おもしろかったかなぁ。
ゲイドの木訥さというか鈍感さというか空気読めないさがすごいツボ。仕事バカ加減がめちゃ好印象です。一方対するイリアの方のマイペースぶりにも思わず笑ってしまう。二人の仲を取り持ったフィオラではありませんが、何とかしてあげないとと思ってしまう気持ちはよく分かります。誰かが何とかしないと何ともならなさそうな雰囲気がたまりませんでした。

シリアス一直線の本編からすると息抜きができる短編集。本編の再会も楽しみ。

渡れ、月照らす砂の海 幻獣降臨譚

imgこの手の中の儚きもの 幻獣降臨譚
本宮ことは/池上紗京
講談社X文庫WH(2007.03)
ISBN:978-4-06-286519-7
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