ヴィクトリアン・ローズ・テイラー 恋のドレスと約束の手紙 / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

思いが通じ合ったクリスとシャーロックは、手紙のやりとりを始めた。そして、「薔薇色」に友人の女優シリルのドレスを作ってほしいという謎の男性が現れる。その依頼を受けることにしたクリスだが、シリルと対面でどこかしらの違和感を感じる。


ついに「お付き合い」らしきものを始めたクリスとシャーリー、第一歩は基本のき、からということで手紙です。文通です。清く正しい交際は文通からです。お互いの手紙の内容が本当にいじらしくてキュンキュンものですね……。そして乙女シャーリーが乙女っぷりと俺様っぷりを遺憾なく発揮されているのがこれまた読者としてとても面白いのです。あれだけえらそうにしてるくせにクリスの前では形無しです。これも恋のなせる技。

今回は謎の「女優」シリルのドレスを作る過程で闇のドレスとクリス母の謎がこれまただいぶ明かされる話。このシリーズ、実はそんなに読み込んでないので誰が誰なんだか読みながら一部さっぱりでしたが、それでも大変なことが起こってることはよく分かった!(だめだめな読み方ですごめんなさい)クリス母関係も大変だったんですがパメラ争奪戦の方も気になります。両者一進一退の攻防。そしてパメラのためらう気持ちもとてもよく伝わってくるのでとても切ないです。

しかし、闇のドレス関係のところは読んでいてむかーっというかいらいらしてしまうのでとても苦手です。人の負の感情を引き出すドレスだから、あの支離滅裂さも一応は納得もいくのですが。そして今回はちょっと後味悪、な終わり方だったので余計に、なんというか非常にモヤモヤ感が。個人的にダークなお話は苦手というか、あんまり読まないようにしているのでどうも慣れていないというのもありちょっと悶々としてしまいます。しかし続きは気になるしなぁ……。

シャーリーにはとてもがんばっていただきたいです。いろんな意味でのラスボスはやっぱりアディルだな……。

img恋のドレスと約束の手紙 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー
青木祐子/あき
集英社コバルト文庫(2008.09)
ISBN:978-4-08-601203-4
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